2020年5月時点で、コロナは一時的なショックにすぎないと予測していたアナリストの武者陵司さん。コロナで世の中はどう変わるか。経済的な背景を教えてもらいました。

新型コロナウイルス感染症のまん延で経済は大きな打撃

新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)のまん延で経済は大きな打撃を受け、株価は感染拡大が本格化した2020年3月にいったん大きく下落。この状況をリーマン・ショックと重ね「大不況に陥るのでは」と恐れる向きもありましたが、私は当初からそうは考えませんでした。

リーマン・ショックはサブプライムローンという問題のある資産を組み入れた複雑な金融商品が出回り、投資家がその真のリスクを見極められず、パニック売りしたことに端を発し、金融の問題が実体経済に波及して深刻な不況を招いたものです。

これに対してコロナは天災です。一時的に活動が制限され、経済が停滞していますが、経済に本質的な問題が起きたわけではありません。

事実、投資家の心理を表す恐怖指数ともいわれるVIX指数は、一時リーマン・ショック時の水準まで上昇しましたが急低下。それ以後は低水準で落ち着いています。また、日米の株価は大きく上昇し、NYダウ(ダウ工業株30種平均)やナスダック総合指数は史上最高値を更新し、日経平均株価もバブル崩壊後の再高値を更新しています。

リーマン・ショック後、株価は長期低迷。コロナ禍ではすぐ回復し、バブル後再高値