「すみません」を繰り返すばかりの日本の航空会社

日本でもまったく同じ場面に遭遇したことがありました。ある大手航空会社の搭乗システムがクラッシュしてしまい、その日の朝、東北に向かうはずだった私と母は、空港で立ち往生してしまったのです。

係員の方は「すみません」「申し訳ございません」と繰り返すばかりで、何がどうなっているのか、いつ乗れるのか、保障はあるのか、わからずじまいでした。しかし、飛行機自体を飛ばすことに問題はないようでした。

結局、私たちは他社便に振り替えられたのですが、振り替えのことを聞いたのは3時間後、空港を出発したのはその日の午後になってしまい、宿に着いたのは真夜中でした。

臨機応変な対応が必要な場面では、日本人の従順さや、上の人に逆らわない、杓子定規にやる、というキャラクターがマイナスの方向に作用します。思い切った決断、その場の問題を解決しようという瞬発力、お客さんへのサービス精神、終わりよければ過程なんてどうでもいいんだという大雑把さ、働く人もお客も会社も楽しくなるやり方、というのを考えつきません。

イライラしていたお客へウインクするなんて、日本の航空会社の人では考えつきません。しかし、ちょっとチャーミングな対応をすることで、そのお客にとっては一生忘れられない思い出になるし、働く方も楽しくなります。いろいろ間違ってばかりのイタリア人でも、こういう臨機応変さ、創造性の高さは、大変素晴らしいのです。

これってなぜでしょうか?

イライラしたお客にウインクできるか

私は日本人の育ち方と教育に原因があると思います。日本の家では親が決めることが多いのです。小さい子供に「アナタはどうやってやりたい? 選択肢と理由を説明して」なんて言いません。学校では細かい決まりがあって、それに従うことを学ぶのがお勉強です。

谷本真由美『日本人が知らない世界標準の働き方』(PHP研究所)

子供の頃から暗記、暗記。国語の試験では先生が決めた「主人公の気持ち」を書けば満点。人から与えられた決まりを守ることを遂行できる能力の訓練に、大きな時間が割かれています。その決まりが、おかしいか、面白いか、別の方法はないか、なんて考える機会はありません。

しかし、多様な人が、雑多に交じって働く世界では、先々何があるかわかりません。トラブルは起こるのが当たり前と考える方が当たり前です。

そんな時に大事なのは、なぜその決まりはあるのか、他に方法はないか、どうやったらもっと良いかを「自分で考えること」です。日本の家でのしつけや教育を変えていかないと、いくら「グローバル、グローバル」といっても、イライラしたお客にウインクしてなんとか丸く収めてしまう、イタリア人のような瞬発力に負けてしまうでしょう。

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