すかいらーくグループ、松屋と比較してみると…

日本マクドナルドの2020年は波乱万丈で山あり谷ありでした。前年の2019年は消費増税前後を除き、年間を通じて堅調でした。それに比べると、2020年の数字はびっくりするほどデコボコしています。

新型コロナの脅威が広まり始めた2020年3月、他の飲食店同様にマクドナルドの既存店売上高は悪化しました。とはいえ客数が-7.7%の減少、それに対して客単価が8.3%増加で、トータルの売上は-0.1%の減少とコロナの影響は軽微でした。

日本マクドナルドホールディングス セールスリポートより、編集部作成

同じ時期に他の飲食店はどうだったか。テイクアウト比率が低い飲食店の代表として、すかいらーくグループを見てみます。すかいらーくでは3月の既存店売上高が-24%の減少とすでにコロナ被害が拡大しています。そして客数が-26%とほぼ4分の3に減っていることから、売上減の原因は客数減だとわかります。

一方、テイクアウト比率が高い飲食店はどうでしょうか。牛丼大手・松屋の3月の客数減は-8.6%で、これはすかいらーくよりもマクドナルドに近い数字です。しかし松屋の場合は客単価が3.7%しか増えていないため、トータルでの売上は-5.2%とコロナの悪影響を受けています。

ファミリー需要が客単価増に貢献した

ここから類推するに松屋とマクドナルドの違いは、「個人客」と「ファミリー」の違いだと考えられるでしょう。コロナ禍になりテイクアウト客が増えたところで、松屋は一人分のテイクアウトが多くなりましたが、マクドナルドはファミリー客のテイクアウトが増えて客単価が上がったわけです。

そしてこの構造の違いから4月、5月の日本マクドナルドの月次売上は新型コロナによる緊急事態宣言の逆風下であるにもかかわらず絶好調になります。この時期、すかいらーくは客数はほぼ半減、客単価はそれほど変わらずそのまま売上半減を記録します。松屋ではやはり客数が4分の3になり、同様に売上も4分の3近くに減ってしまいます。

ところが日本マクドナルドは客数が2割減少したにもかかわらず、客単価が4月は31%増、5月に至っては45%増となり、5月の既存店売上高は年間を通じて最大の対前年15%増を記録します。