デリバリー強化、アプリ、クーポン配信という複合効果

そして日本マクドナルドがどうだったかというと、2020年の後半には客数減は前年同月比でマイナス6%にまで戻すことができました。客数減を抑えられたのにはさまざまな要因があります。

フライドポテト
写真=iStock.com/LauriPatterson
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ウーバーイーツに代表されるデリバリー強化に加えて指摘したいのは、マクドナルドが磨き上げてきたスマホアプリの使いやすさです。「どうせ注文するならマックが簡単だな」と消費者に思わせる効果があったと思います。メルカリやスマートニュースなど、さまざまなアプリにマクドナルドのお得なクーポンが提供されていて、外部サイト経由での顧客流入もかなり確保できたはずです。

そして客単価は16%増となりました。2019年以前の日本マクドナルドの月次レポートの数字と比較すれば、これが驚異的な水準であることがわかります。

この単価の上昇はファミリー需要だけが理由ではないかもしれません。生活が緊急事態宣言から平常に戻った以上、わざわざマクドナルドから家族分の食事を取り寄せるファミリー需要がそのまま残るわけではないですから。

なぜ「夜マック」の可能性に気づかなかったのか

その観点で見て、マクドナルドの客単価向上につながる別の要因として考えられるのが「夜マック」です。

夜マックは別に新型コロナで始めたものではなく2018年から実施していたもので、夜17時以降は100円プラスすればミートを倍にしてくれるというサービスです。始まった当初は私自身も「まあお得かもしれないな」ぐらいに思っていたのですが、3年たってみて、最近ではマクドナルドで夕食をする時は必ず夜マックを頼むようになってきました。個人的な感想ですが、100円プラスしたらちょうどいい感じでお腹いっぱいになるのです。

これはよく考えてみたら一般の飲食店の大盛りサービスと同じです。あって当たり前なのになぜ日本マクドナルドに2018年まで大盛りが存在していなかったのか。たぶん理由はアメリカにメインメニューの大盛りという概念がないからでしょう。

アメリカはすべてがスーパーサイズな国です。ポテトであればスーパーラージ、コーラであってもスーパーラージとでかいサイズで注文します。しかしチーズバーガーのスーパーサイズが欲しい人は2つ注文する。ないしはダブルチーズバーガーを注文するわけです。つまりメインメニューは大盛りではなく2つオーダーする国だということです。

ですからアメリカのマクドナルド本社は、アジアでは大盛りが文化になっていることに、50年近く気づいていなかった可能性があります。