メーカーにとってもコストダウンになる
その秘密とは、メーカーが容器に「ループならでは」の付加価値を付けられること。
これまで多くの消費財メーカーは、市場での競争力を高める(低価格化ほか)ため、容器の製造コストをできるだけ安く抑えようとしてきました。
ですが、その視点では「ガラスよりアルミ、アルミよりプラスチックと、どうしても使い捨ての方向に向かってしまう」とカワバタさん。
ところが、これを「再利用可能な容器に切り替える」と発想するとどうでしょう。これまで10円で作ってきた使い捨て容器を、50円かけて30回使い回せる容器に切り替えるほうが、コスト面でも抑えられる計算になりますよね。
「意識高い系」以外の層にも浸透するしかけ
容器にコストを掛けられるとなれば、メーカーも凝ったデザインや素材を採用できます。
実は、ここもポイントの一つ。冒頭で、「日本はまだSDGsへの関心が高いとは言えない」と書きましたが、環境意識が高い一部の層(アーリーアダプター)からじわじわと時間をかけて広めていく方法では、社会全体の熱量がなかなか高まりにくい。
ですがループの仕組みによって、デザイン性が高い容器がどんどん世に出てくれば、いわゆる「意識高い系」の層だけでなく、私のような一般の消費者も「飾っておくだけでオシャレ」「ループに切り替えたい」と手を伸ばすようになるでしょう。
すると、不参加だったメーカーも「十分、売れる」「採算が合う」と、経済合理性の側面からも参加表明するようになり、スピーディに循環システムが広がると考えられます。
気になる販売価格は、例えばアメリカで展開するループ(オンライン販売)の場合、オシャレなアルミ製のボトルに入った「Pantene(パンテーン)」(P&G)のシャンプー(12.6オンス/約320ml)が、$5.50と600円弱(デポジット別途)。
日本で同ブランドのシャンプー(プラ容器入り)が、多少成分は違うものの500mlで800~1000円程度で売られているようです(21年2月末現在)。比較しても、「ちょっとだけ高額かな」ぐらいの印象ですよね。