素手で持っても冷たすぎないハーゲンダッツ

容器にコストをかけられると、「見た目」とは別の価値を付加できる可能性もあります。一例が、アメリカでループのシステムに参加する、ハーゲンダッツ。

カワバタさんによると、「同社が二重構造のスタイリッシュなステンレス容器を開発したことで、『中身(アイス)が溶けにくい』『素手で持っても冷たすぎない』という機能性を高めることにも成功しました」とのこと。

ただ一方で、ループが提案する循環システム自体を「本当に必要なの?」と懐疑的にみる人も、いるかもしれません。

かくいう私も、数年前まではその一人でした。ゴミを捨てる際には毎回、ペットボトルや食品トレーを意識的に分別しているし、統計上でも「日本は廃プラの85%を、再利用している」との数字がある(20年 プラスチック循環利用協会調べ)。

日本はプラスチックの多くをリサイクルしていて、わざわざループのようなシステムを構築しなくても、廃プラ問題は解決できると思っていたのです。

世界第2位の「廃プラ大国」の実態

ところが18年以降、風向きが変わり始めます。

前年の17年末、中国が廃プラの輸入を禁止。その後、東南アジアや台湾も次々に輸入規制を導入するようになり、「日本の廃プラが行き場を失っている」と、広く報道されるようになったのです。

恥ずかしながら、私はこのとき初めて知りました。日本が人口1人あたり換算で、アメリカに次ぐ世界第2位の「廃プラ大国」であることを(18年 UNEP(国連環境計画)の報告による)。

ちなみに、日本における「廃プラのリサイクル(85%)」には、おもに3つの方法があります。それが、以下の通り(20年 プラスチック循環利用協会調べ)。

1、「マテリアル(リサイクル)」(22%)=モノ→モノへ
2、「ケミカル(リサイクル)」(3%)=廃プラ→分子→プラスチック素材へ
3、「サーマル(リサイクル)」(60%)=燃やす→熱→エネルギーへ

このうち、約4分の1(22%)を占めるのが「1」です。モノからモノへ、すなわちペットボトルごみが再びペットボトルに生まれ変わるなど、一般的なリサイクルのイメージに近いのですが……、日本はこの「マテリアル(リサイクル)」に関わる廃プラの半数以上を、中国に輸出していた(現地でリサイクルしているとの前提)と言われます。だからこそ、これまでなんとか乗り切ってこられたのです。