40代の新社長が就任し次なる目標を目指す
2013年11月、ツルハと広島が地盤の「ハーティウォンツ」とのM&Aの発表があった日に、広島テレビでニュース速報のテロップが流れた。広島では抜群の知名度を誇るハーティウォンツがM&Aされることが、広島県では驚きをもって報道されたわけである。
地域に根差したドラッグストア企業とのM&Aを象徴するようなエピソードだ。ツルハHDのグループ戦略の特徴は、地域で愛されているグループ企業の屋号(ブランド名)をそのまま残していることだ。M&Aによって規模を拡大すると同時に、ローカルで支持されているブランド名はそのまま残すという戦略は、アメリカでも見ることができる。
たとえば、アメリカ最大のスーパーマーケット企業「クローガー(Kroger)」は、M&Aを繰り返しながら規模を拡大してきたが、地域に定着しているローカルスーパーの店舗名はそのままにしている。
2018年に買収したシカゴの「マリアノス(Mariano's)」という店舗も店名、特徴的な売り方をともに、そのまま残している。アメリカを代表するドラッグストアのウォルグリーンも、マンハッタンで愛されている「デュアンリード」の店舗名は、買収後もそのまま変更していない。
2020年6月、鶴羽樹氏の後に社長を継いだ堀川政司氏の退任に伴い、鶴羽順氏が創業家の跡継ぎとして5代目の社長に就任した。グループでの売上高1兆円突破、全世界2万店構想に向けて新社長が指揮を執る体制に若返っている。