高層ビルの建設に欠かせない「タワークレーン」。その半数を製造しているのが広島に本社を置く北川鉄工所だ。製品開発力の高さは製造業の世界で広く知られている。なぜそうした希少な位置を占めるようになったのか。同社の北川祐治代表取締役会長兼社長に聞いた――。(インタビュー・文=中沢孝夫・福井県立大学名誉教授)

日本のビル建設に使うクレーンの半分は北川製

——北川鉄工所は典型的なBtoBの企業なので、仕事の中身は消費者には、地元(備後・府中市)の市民は別として、一般市民には見えにくいのですが、設立から80年、創業者の個人企業の時代から数えると100年を超えました。

【北川祐治(北川鉄工所代表取締役会長兼社長)】山あり谷ありでしたが、新製品の開発や改良を重ねることによって、おかげさまでここまで歩んできました。当社の事業の中身を大きく分けると①金属素形材事業、②産業機械事業、③工作機器事業、の3分野です。