進歩し続ける遠隔操作技術
——そのタワークレーンのことですが、近年伝えられるのは、遠隔操作と自動化への技術革新の必要性ですね。
【北川】遠隔操作と自動化はタワークレーンに限らず、地上での土木作業用のクレーンをはじめとしてさまざまな機械に求められています。
確かにビル施工にとって、遠隔操作と自動化は夢ですね。技能工がどんどん減少し、人手不足が深刻になりつつあります。とはいえ、オフィスビルもマンションも、あるいは消防署といった建物も、すべてが異なったデザインで、異なった大きさと機能を持っております。
それゆえ部材となる鉄骨もそれぞれ異なった形状、重さを持ちます。それらを一様に吊り上げて、その日の風の強さなども計算しながら必要箇所に据え付けるのは、容易ではありません。それを成し遂げる熟練オペレーターの技は、簡単にデータ化できるものではありません。
当社では昨年、業界初となるタワークレーンの3次元自動運転システム「OPUS1(オーパスワン)」を開発しましたが、まだまだ熟練オペレーターのレベルには到達していません。
例えば遠隔操作はカメラの性能が向上したことにより、かなり広範囲の領域が見えますが、それでもユラユラと揺れたりもする100トンの鉄骨を制御して、狙った位置にピンポイントで運ぶことは難しいですね。今後も開発を進めて、熟練オペレーター並の移動スピードと、さらなる停止精度の向上を目指していきます。
模倣メーカーにはマネできない高精度な製品
——他の社内技術(製品)はどんな状態でしょう。
【北川】コンクリートミキサーの改良開発が続いています。生コンのプラントは以前、国内の40%くらいのシェアでしたが、今は35%くらいでしょうか。
ただ私どもの生コンのプラントは歴史が積み重なっており過去に納めたプラント設備の部品供給などが増加していますね。
一般の家電製品などは10年くらいで部品供給を止めてしまいますが、プラント設備はそうはいきません。15年たっても20年たってもオファーがあります。
これは当社の工作機器類も同様です。ただ,そういう部品も模倣メーカーが登場し、開発費用を負担せずに安物の類似品を造りますので、模倣メーカーではマネのできない、高精度な製品づくりに乗り出しています。