「ツマラナイ」が出るのは心の風通しが悪い証拠

「ツマラナイ」が口癖の人ほど、心のフィルターが詰まっているというのはややこしい話ですが、「心の風通しが悪くなったときに出る言葉がツマラナイである」というのが、現在の私の結論です。いまでも掃除機やエアコンのフィルターを掃除するときには、自分の心が目詰まりしていないかをチェックしています。

やはり40代のころ、ベテランの村上正行アナウンサーに「聞き上手のコツはありますか?」と質問したことがありました。

するとすぐに「それは“初めて”という心の張りを持つことです」と答えてくれました。よくわからない顔をしている私に、村上さんは次のように補足してくれました。

旅行に誘うと、「そこは5年前に行ったことがある」で話が終わってしまう人がいます。5年前とは一緒に行くメンバーも違うし、季節だって違うでしょう。なにより自分は5歳年を取っているのですから、同じはずがありません。

新しくできたレストランの話をすると、「先週行ってきた」と自慢する人がいます。さらに「材料はいいんだけど、味付けがイマイチだった」と、これから行く人の楽しみをゴッソリ奪って知らん顔をしている人がいます。

このような人は心のスポンジに泥水がたまっているようなもので、どんなにきれいな水に浸しても吸い込む能力なんかない――それが村上さんの分析でした。

写真=iStock.com/tadamichi
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「心のスポンジ」はカラカラにしておく

「だから、私たちは心のスポンジをカラカラにしておくんです。そうすれば、何度も聞いた話だって、新鮮な気持ちで聞けるんです。それが“初めて”ということに対する心の張りってことですよ。そして、それが聞き上手のコツです」

私は泥水がたっぷりたまった自分の心を、目の前に突きつけられた気分になりました。

そして気づいたのは、心のスポンジに泥水がたまってきたときに出る言葉が「ツマラナイ」なのだということでした。

村上さんのおっしゃる心のスポンジも、私が気づいた心のフィルターも、同じ意味です。これが目詰まりしていると、イライラやモヤモヤが行き場を失って心の中にたまります。

目詰まりをなくす最も簡単な方法は、フィルターの目を広げることです。関心領域を広げるのです。心のスポンジをカラカラにしておくことです。

多くのことに「へぇ!」と驚き、「どうして?」と疑問を持つようにするのです。

そうすると目詰まりが解消されて、心の風通しがよくなります。風通しがよくなると、より広範囲のこと、遠くのことにも関心がわき始めます。

注意して周囲を見れば、不思議なこと、愉快なことはたくさんあるものです。