部下や同僚に、自分はどう見られているのか。劇作家の竹内一郎氏は「余計な一言が人望を失わせているかもしれない。自分の立ち居振る舞いを修正する時は、演出家の視点で自分を客観視することが大切だ。誤解や人間関係のストレスは大幅に減らせる」という――。

※本稿は、竹内一郎『あなたはなぜ誤解されるのか 「私」を演出する技術』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

ガラス張りの建物内で打ち合わせする上司と部下
写真=iStock.com/franckreporter
※写真はイメージです

職場で使わないほうがいい「嫌われ言葉」

セクハラやパワハラへの意識が高まったことで、あまりに典型的なNGワードを口にする人は減ったと思われる。「死んじまえ」「バカ」「スタイルいいね」等々。

一方で、ハラスメントとされないまでも、口にしないほうがいい言葉がある。私はそれを「嫌われ言葉」と呼んでいる。いかなるものか。どう意識して防げばいいのか。本稿では、この問題を考えてみよう(以下は、竹内一郎著『あなたはなぜ誤解されるのか 「私」を演出する技術』の第3章をもとにしています)。

優秀な人に多いのだが、それを言うと人が離れていくという「嫌われ言葉」が常とう句になっている人がいる。

上司が部下にいう台詞によくあるもの。
「前に教えたよね」
「当たり前のことができてない」
「これで何回目だっけ」

本人はアドバイスをしているつもりになっている。だが、言われた方は、できないから同じミスを繰り返しているのである。時間は掛かるがスキルが上がってくればミスは減ってくる。嫌われ言葉が有効に作用することは少ない。

上司には、それを言っているとき快感が伴う。快感は普通、ただでは手に入れられない。何がしかの代償を払って得るものだ。

上司は部下からの「人望を失う」という代償を払っている。人望を失うのは、それを言った相手からばかりではない。それを聞いている周囲の人全てから、である。