20GBを超えるヘビーユーザーは5%未満

とはいえ、「アハモ」の衝撃は大きい。スマホユーザーのデータ通信の月間平均利用量は約7GBで、20GBを超えるヘビーユーザーは5%未満にすぎないといわれるだけに、「アハモ」は大半の利用者にとってお得なプランになりうる。

6月に発表された携帯電話料金の内外価格差調査(総務省)では、世界6都市中で20GBのデータ通信料金は東京が8175円ともっとも高額だったが、一気に安値国の仲間入りをしそうだ。

KDDIは、「市場に一定のインパクトはある」と驚きを隠さず、9日にはメインブランドからサブブランドの値下げプランに乗り換える際にかかる最大1万5500円の手数料(中途解約金9500円、同一番号移行=MNP=費用3000円、契約事務費3000円)を、2021年2月以降に全廃すると発表した。

ソフトバンクも同日、同様にサブブランドの新プランへの乗り換え手数料を2021年春から原則撤廃する方針を明らかにした。

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政府の意向を受けて新たな大幅値下げプランをサブブランドで用意したものの、武田良太総務大臣が「高額な移行手数料は、メインブランドに囲い込む方策」と強く批判したこともあって、両社とも急きょ手数料を見直すことになった。

さらに、武田総務大臣のメインブランドでの値下げ要求に対しても、様子見を決め込むことは難しい状況に追い込まれた。

菅首相は「一つの節目を迎えた」と手放しで評価

一方、格安スマホの日本通信は、「アハモ」発表の翌4日、直ちに容量16GBで月額1980円の対抗プランを発表した。

楽天も、3~5GBで現行プランの半額となる1000円台の新プランの検討を始めた。

「4割は下げられる」と断言した菅義偉首相は、NTTドコモの「アハモ」発表後、すかさず「本格的な競争に向けて一つの節目を迎えた」と手放しで評価。直後の雪崩を打ったような値下げ合戦に、11日のネット番組で「KDDIもソフトバンクも追随せざるを得なくなる。たぶん半分以下になる」と“強権発動”の成果に自信を見せた。

また、武田総務大臣と公正取引委員会や消費者庁を所管する井上信治特命担当相は9日、「携帯電話料金の低廉化に向けた二大臣会合」を開き、「関係省庁の力を結集して、値下げの障害を取り除いていく」と、政府として値下げ圧力をさらに強めていく方針を確認した。