法律婚と事実婚の違い
事実婚とは、婚姻届を出さないだけで、カップルの双方が事実上の夫婦として生活する意思を有し、実際に夫婦と同様の生活を送るスタイルの結婚です。
「内縁」とは事実婚のことです。
憲法は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と規定しており、「婚姻届の提出」を条件としていません。
事実婚は法律上、可能なかぎりで、婚姻届を提出した夫婦(法律婚)と同じように扱うこととされ、一定の法律上の保護を受けることができます。
しかし次のような点で、事実婚の夫婦は、法律婚の夫婦と扱いが違います。
・相手が亡くなったとき、相手の財産を「法定相続」できません。遺言により財産の遺贈を受けた場合でも、法律婚の夫婦間の相続の場合に比べ、税法上の優遇が受けられません。
・子どもができたときに、自動的には法律上の夫の子どもとは認められません。認知の手続きが必要です。
このほかにも、事実婚と法律婚では、法制度のうえで細かな取り扱いの差があります。
どのようなスタイルでも、しっかりパートナーと話し合って決めることが重要です。
「他方はそう思ってなかった」という悲劇を防ぐために
事実婚は、「事実上」の関係であるため、法律婚とは違う方法で関係を証明する必要があります。「どちらか一人が事実婚と思っていても、他方はそう思ってなかった!」ということも起こりえます。
なんらかの書面を作成して万が一のときに備えておくことが有効です。
また、入籍はしないにしても親族・知人・職場関係者を招いて、結婚式・披露宴を挙げておくのもよいでしょう。
「事実婚」の証明に役立つものには、ほかに次のようなものがあります。
・一方が他方の生命保険の受取人になっている
・住宅の賃貸契約で両者が共同賃借人になっている
・住民票の続柄欄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されている
同棲は、カップルが同居するだけで、夫婦として生活する意思まではない場合を指します。両者に「結婚」しているという「意思」があるかどうかが、同棲と事実婚の最大の違いです。
憲法 第24条
1 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻および家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
国民年金法 第5条 用語の定義
7 この法律において、「配偶者」、「夫」および「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。