従来の業務プラスアルファの資質が求められる

この分野で働く人たちが移動し、あるいは現場に出なくても済むように、遠隔医療のようなリモートモニタリング、リモート制御、ロボットやドローンなどを活用した「遠隔化」「省人化」「自動化」「スマート化」といったテクノロジーが社会で実用化されてきています。

こうしたテクノロジーの進展は現場で雇用される人員を削減することにもつながるため、従来のように単なる労務の提供ではなく、リモート技術やロボット、ドローンなどをコントロールし、使いこなす側に立つことが求められてきます。

飲食などのサービス業では非正規雇用の人が多いと思いますが、今後は集客や販促を担当するプロモーション業務、SNSやホームページにコンテンツを投稿して話題性を提供して集客につなげ、ブランド力を向上させるマーケティングや広報の業務へシフトしていくことで、手放せない人材になります。

(4)管理職・役員では、「積極的にITを活用し、リモートワークを自ら実践する」

パンデミックによって引き起こされた社会環境の変化と働き方の変質に対して、企業が迅速に対応できるかどうかは、管理職と役員の変化対応力とITリテラシーに大きく左右されます。自身に専門知識がないから関与しないようでは、組織のIT対応は進まず、迅速な対応と投資は実行できません。

掛け声だけの管理職・役員はもういらない

部下や秘書に丸投げせず、管理職や役員が積極的にITを活用し、リモートワークをまずは実践することです。不明点は人に頼らず、自身でネット検索して、対応方法を学ぶようにします。組織のインフラ整備を推進するのは、管理職・役員の采配と指示があって現場が動くことを念頭に置きます。

企業のIT化はオフィスのPCに、自宅のPCからリモートでアクセスでき、オフィスで仕事をする状態と同じ環境を実現することです。

認証や通信の暗号化などの情報セキュリティーを整え、自分のPCからリモート操作できる仕組みになれば、利用する人のITリテラシーに頼らない運用が可能になります。リモートワークでは予期しないトラブルが必ず発生しますから、ITリテラシーが高くない社員向けには「電話」ではなくSlackなどビジネスチャットを使ったヘルプデスク機能を用意し、社内の利便性を高める仕組みづくりを用意します。

これらのインフラ整備を推進する人材であり決定権を持つのは、管理職と役員であることを念頭に入れ、自ら率先して行動を起こしてください。

(5)経理・財務部門では、「役割が高度化して専門職化し、経営戦略や投資戦略を担うためにAIを駆使するスキル習得が必須化」

テレワークが加速すれば、経理や財務の仕事はデジタル化が進みます。領収書や帳票類は電子化され、自社の経理サーバーはクラウドになり、そこで使用するソフトウエアを運用することになります。膨大な量の経理処理や各種帳票の仕分け作業、決算報告書の作成などには、従来多くの担当者と作業時間が必要でした。しかしその多くは自動化されていきます。