知識の量より「知恵の量」

タイプ3:情報量が豊富で、相手がコミュニケーションしたくなる価値を備えている人

社会変化や構造変化を、ひとごとでなく自分ごととしてとらえ、広範なジャンルから情報収集を行い、情報に付加価値をつけて自分のものにして活用できる人材が求められています。この特性を備えた人なら、誰もがコミュニケーションしたい相手になるからです。コミュニケーションの価値を高めるのは、裏付け情報の有無です。価値ある情報を日々入手し、自分なりに加工し、自分ごととして活用しているかが問われてきます。

タイプ4:仕事をしながら、能力を高められるように学び続けられる人

電車の席に座るビジネスパーソンたち
※写真はイメージです(写真=iStock.com/TAGSTOCK1)

資格取得という過去の「学び」でなく、現在の仕事やキャリアに生かせる「生きた学び」を日々継続し実践します。情報を暗記して記憶する「知識の量」を誇る学習ではなく、入手した情報を自分なりに咀嚼し実務に生かせるよう「知恵の量」を増やす学習に取組みます。こうした学びを続ける人なら、年齢にかかわらず周回遅れになることはありません。

タイプ5:環境変化に柔軟に対応できる人

今回のパンデミックでは10年掛けて起きる変化が、わずか数カ月で引き起こされてしまいました。組織と個人を問わず、その影響は多岐に及びます。「危機管理体制」「柔軟性」「新しい働き方」「リモートワーク」「情報セキュリティ」などウィズコロナの時代は、組織と個人に柔軟性を要求します。

「紙の書類や対面を前提とした過去の方法論」「ICTやデジタル対応への無理解」「会社に出て仕事をする『皆勤賞的取組み』」「不平不満を口にするだけで改善策を講じない」「最盛期だった頃のままで、思考が停止している」こうした硬直した姿勢では生き残ってはいけません。

職種別に見る「手放したくない人材」の資質

すべてのビジネスパーソンに必要とされる5つの資質を踏まえた上で、次は職種別に求められる人材の要件を洗い出してみます。

(1)営業職部門では、「社会構造の転換に即した行動」

徐々に進化してきたとはいえ、営業担当者は顧客と直接対面してニーズを探り、商談を進めることがこれまでの方法でした。「取引先に出向いて、直接会う」営業スタイルです。取引先に訪問し雑談から関係を作り、ニーズを把握して仕事につなげる手法は、非常に時間が掛かり、また取引先も時間を取られてしまいます。