確実に起こる「マッチョの反乱」
以上を包含する、世界的な潮流もあります。
気候変動対策やSDGsなど、以前からあった動きは、コロナ禍で全世界の人々の健康、安全、経済が脅かされたことにより、いよいよ積極的に取り組まれることとなるでしょう。企業の社会的責任も、これまで以上に強く問われます。さらなる環境への配慮やダイバーシティの推進が求められるに違いありません。また、その一環として、LGBTQの権利に関する意識も高まるでしょう。
ただし、大きな流れが起こるときは、必ず反動も起こります。
タテ社会の弱体化、女性の社会進出、LGBTQの尊重といった変化に対し、確実に起こるのが「マッチョの反乱」。昔ながらの価値観を声高に叫ぶ人と、それに「我が意を得たり」と賛同する人とで構成される一派が、あちこちに現れるはずです。
そうなると、変化を望む人と望まない人の双方がストレスを感じることになります。前者は、保守的な人々の言動が目について、思ったほど改革が進まないことに苛立つでしょう。後者も、そもそも世の中の大きな流れに抵抗しているわけですから、やはりストレスフルです。
そういうわけで、数年後には、「思ったより変わらない」と嘆く人もいれば、「変わってしまった」と嘆く人もいる、誰もが不満を抱く社会になっている可能性があります。
とはいえ、全体を見れば、タテ社会の解体は不可逆的な流れです。その歩みは、早くはないにせよ、確実に進んで、後戻りはしないでしょう。
職業選択は好きか嫌いか。心の声に従おう
社会の変化に対応できない企業も出てくるでしょう。
よく、変化に柔軟に対応できるか否かは業種によると言われますが、投資家として感じるのは同じ業種の中でもばらつきがあるということです。例えば、一般に保守的と言われる建設業界でも、ダイバーシティや働き方改革に積極的な会社は多々あります。
職業選択においては、業種や職種と同等に、もしくはそれ以上に、勤務形態を重視する風潮が出てくると思われます。働き方に多様性や柔軟性があり、従業員満足度が高い会社には優秀な人材が集まるでしょう。当然、それは会社の競争力に大きく関わってきます。
とはいえ、努力をしても、コロナ禍による打撃を大きく受けざるを得ない業種もあります。飲食業や観光業は、業務の性質上、様々な対策を求められるでしょう。
そうした仕事に携わる人は、今後、どうすべきか。それはやはり、冒頭に述べた「ハッピーか否か」がポイントです。
その仕事を愛しているなら、収入が減っても留まることが幸福につながります。逆に、これから伸びる業界へ身を移して新たなチャンスをつかむという幸福の形もあります。
いずれにせよ、心の声に従うことが最良の選択です。好きか嫌いか、したいかしたくないか。自分にとことん向き合い、自分ならではの生き方を見つけること。それは、これからの人生に、お金や社会的成功だけでは測れない、新しい価値をもたらすでしょう。