「贅沢」「マッチョ」な価値観は前時代的

この転回は、旧来の価値観が変化するということでもあります。

その筆頭が、タテ社会。年功序列、上司と部下、先輩と後輩など、ヒエラルキーの上下関係を重んじる風潮は新型コロナウイルスの流行前からかげりを見せ始めていましたが、今後はさらに加速します。ネットワーク的な横のつながりや個人の尊重が、それに取って代わるでしょう。

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根回しや密室での会議といったことも重要性を失っていくと思われます。フラットで公平な関係性に逆行するものですし、物理的にも「密」になるからです。

同様に、二次会三次会と長時間拘束されるような「飲みニケーション」も避けられることになります。若い世代にはすでに、飲んで騒いで結束を固める人間関係を古くさいと考える人が増えていますから、世代交代とともに、その傾向が強まるはず。タテ社会の崩壊は、「バブルっぽさ」や「マッチョ」な価値観を葬ることにもなります。

ゴージャス、強い、大きい、すごい、などの褒め言葉は時代とそぐわなくなり、お金にモノを言わせて贅沢をする行為は、むしろ前時代的とされる可能性が大きい。

例えば接客を伴う飲食店などの「夜の街」。「すご~い」「さすが~」と男性を褒めそやす商売は、まさに古い価値観に属するものです。クラスター源となりやすいことも、言うまでもなくリスク要因です。

家という箱の立派さよりも中身が大事

先ほど、重要性が高まるとお話しした家についても、大事なのは、家の中にいる「人」です。家族と快適に暮らせているか。心が通じ合っているか。どんなに立派な家に住んでも、家族が良い関係を築けていなければ極めて不幸です。

お金持ちのみならず多くの人々が、今、家族と改めて向き合っています。家の中の楽しみを発見する人がいる一方で、これまで表面化しなかった問題に悩む人も多いでしょう。「コロナ離婚」が話題になりましたが、アフターコロナにおいても、離婚はおそらく増えます。

しかし、それは決して悪いことではありません。その夫婦にもともとあった問題が顕在化したのであって、その二人が別れることは、双方が本来の道に立ち返り、人生を立て直すことへとつながるでしょう。