周囲の人は「お仕事順調ですね」と声をかけるが…

〈自己責任〉の種が仕込まれたのは、平成バブルの頃かもしれない。30年経って大きな花を咲かせている。すべてあなた自身のせいですよ、と言われたら、それに対して「はい、すみません」とつい謝ってしまうのも〈バブル世代〉か。

「いまこの歳になって先輩とか同期に会うと、すばらしい人たちがたくさんいます。ああいった年を重ねた女性たちを組織的に生かしていく道はぜったいにあったよねって、思う。私の職場でも、女性のマネージャーとして活躍した有能な元CAたちがたくさんいたのです。そういう女性たちを生かす、国の取り組みはぜったい大事。働き方改革で女性の就労促進を、とか言いますけどなかなか……」

山口ミルコ『バブル』(光文社)

今後もユキさんは短大や専門学校で講師をつとめながら、大学院でさらに学ぶ機会をうかがっているという。マナーの本も一冊書き上げた。そんな彼女に周囲の人は「お仕事順調ですね」と声をかけるだろう。ところが、ご本人はまだまだ、とおっしゃる。

バブル世代の〈ねば〉は根深い。

「あの……私、闘っていないんですよ。いいですかね……? こんな人生で」

――それはきっと、まっ最中だからですよ、ユキさん。

終わって、離れないと、きっとわからない。だから尊いのだと、いまは思える。

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