「夫婦共働きが当たり前」の時代

育児休業を取得する男性は少しずつ増えてきましたが、その裏側では、「戻ってきたときに居場所がなくなるかもしれないよ」と上司にささやかれるようなケースをいまだに耳にします。全国への転勤ができない人は総合職から外され、出世コースの外に置かれてしまうという企業も多いのです。

こうした考え方が残る企業は、もしかすると今でも『サザエさん』や『ドラえもん』に出てくる家庭が標準的だと思っているのでしょうか。マイホームを購入して、夫は外で働き、妻は専業主婦になる。そんな高度経済成長期のモデルを、まだ引きずっているのでしょうか。

直近で実施された国勢調査(2015年、総務省統計局発表)によれば、夫婦共働き世帯は64.4%と、全体の3分の2を占めていることがわかります。もはや専業主婦がいる世帯は少数派なのです。

女性がこれだけ社会進出をして実際に働いている実態があるにもかかわらず、「家庭のことをやるのは妻」という前提がまかり通っているのは、おかしな話です。

男性も女性も「柔軟に」働ける社会を!

これまでは、男性は「働き方を変えなければならない場面」に出くわすことが、ほとんどありませんでした。新卒で入った会社に勤め続け、定年退職までずっと働き方を変えない。そのことに疑問すら持たなかった人も、多いのではないでしょうか。

社会の変化を受けて、当然のように「もっと女性が働きやすい職場を作ろう」という動きが起き、大企業を中心にさまざまな制度が整備されてきました。どうしても女性にしかできない出産の前後のことを考えれば、こうしたサポートがあることはとても大切だと思います。

写真=iStock.com/Georgijevic
※写真はイメージです

しかし、もっと突き詰めて考えていけば、男性も女性もフラットに、柔軟に働ける社会を作ることが理想であり、本質的に求められることだと思うのです。

妻がリモートワークをしていても、夫が遅い時間まで帰ってこないという働き方のままでは、家事や育児の大半は結局のところ女性に押しつけられてしまうでしょう。しかし、夫も家を拠点にしてリモートワークができるようになれば、生活を設計するモデルそのものが変わっていくはず。

男性の働き方が変われば、女性の働きやすさも変わる。結果的に、社会全体の自由度も高まっていく。私はそう信じています。