2014年の創業時からほぼ全員リモートワークという企業がある。宮崎県西都市に本社のある株式会社キャスターでは、業務委託を含む約700人がリモートで働いている。取締役COOの石倉秀明氏は「日本の働き方が旧態依然のまま変わらないのは『4つの幻想』に支配されているからだ」と指摘する──。(第2回/全3回)

※本稿は、石倉秀明『会社には行かない 6年やってわかった普通の人こそ評価されるリモートワークという働き方』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

リモートワークを続けてわかった“幻想”

2014年の創業から6年にわたって、「700人全員がほぼリモートワーク」「居住地は全国バラバラ」「給与は地域による格差なし」という会社、キャスターを運営してきて、強く感じていることがあります。

働き方全般に言えることですが、「みんなが何となく当たり前だと思い込んでいること」が世間一般に浸透し、あたかも定説のように語られています。ただ、その中には「幻想」というべきものが多くある──ということです。

幻想①「優秀な人は東京に集まっている」

これは、明らかな幻想です。事実として、キャスターの部門責任者以上の顔ぶれを見ていると、東京在住ではない人のほうが多数派です。

キャスターはほぼ全員リモートワークなので、採用時に居住地を考慮することは一切ありません。そのため、自然と社員の居住地は日本の47都道府県における居住人口比と同じような割合になっていくのですが、「東京の人」が優秀だと感じたことは一度もありません。

2012年10月27日、ラッシュアワーで込み合う山手線
写真=iStock.com/aluxum
※写真はイメージです

東京に優秀な人が多そうに思うのは、単純に人口が多いため、確率論的にそう見えるだけなのではないでしょうか。フラットに採用し、実力で勝負してみた結果、そのことが明らかになってきました。

日本のトップ1%にあたるような超優秀な人は、中央官庁や大企業の本社が集積する東京で働いているのかもしれません。しかし残りの99%、働いている人のほとんどを占める層に関して言えば、東京でもそれ以外でも、何ら変わらないと思っています。

ちなみに、キャスターでは居住地と仕事内容も関係ありません。そもそも仕事を依頼するときに、メンバーがどこに住んでいるかは一切考慮していません。例外的に、海外在住の場合に時差を考慮する程度です。