2014年の創業時からほぼ全員リモートワークという企業がある。宮崎県西都市に本社のある株式会社キャスターでは、業務委託を含む約700人がリモートで働いており、継続的に入社希望が殺到している。取締役COOの石倉秀明氏は「リモートワークが浸透しないのは、男性主導で出社前提の働き方になっているから。いまこそ男性が働き方を変えるチャンス」という──。(第3回/全3回)
※本稿は、石倉秀明『会社には行かない 6年やってわかった普通の人こそ評価されるリモートワークという働き方』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
企業の「経営戦略」としてのリモートワーク
リモートワークは働く個人のメリットとして語られることが多いですが、実は企業戦略としても有利な点がいろいろあります。
私たちキャスターは、宮崎県西都市に本社オフィスを構えていますが、これも含めた全社での家賃は月間で数十万円ほど。できたばかりの数人のスタートアップの家賃より安いと思います。
700人が働く会社としては、あり得ない数字でしょう。そして何より大きいのは、「採用力の向上」です。
コストゼロ、毎月1000人超が入社希望で殺到
キャスターでは創業初月から月に数百人、今では毎月1000人を超える方から入社の応募があります。ほとんどが自社ホームページからの応募なので、コストはほぼゼロです。
バックオフィスのアウトソーシング業務で、給与も大企業に比べたら、まだまだ決して高いわけではない。そんな中でも毎月そのくらいの応募が来るほど、場所を問わず働くことでキャリアを築きたい、という人は多いのです。
新型コロナウイルスの感染拡大はさまざまな業界に影響をもたらしていますが、キャスターは現在のところ、そこまで大きな影響は受けていません。
キャスターの場合は、設立当初からリモートワークで働くことを前提に事業を作り、顧客に価値を提供してきました。場所に依存する事業やビジネスモデルは展開できないというデメリットはありましたが、そのデメリットを差し引いても余りあるくらい、リモートワークによる経営上、事業継続計画上のメリットは大きいと感じています。