売上を減らしたら、生産性が上がった
でも、現に24席で10人以上のスタッフで回していても対応しきれずに、料理を出すのが遅れたりしてお客様を待たせてしまうこともありました。さらにスタッフを増やしたところで、キッチンがパンクするだけです。お客様の満足度を上げるためにも、席数を減らして、それ以上の売上を求めないことにしました。
アメリカの経営学者のマイケル・ポーターは「戦略の本質は、何をやらないかを選択することだ」と語っています。その通りで、すべきことばかりに集中するんじゃなく、しないことをまず考えないと、生産性は上がりません。
席数を減らすとスタッフの労働環境が劇的に改善し、サービスの質もよくなって、お客様の満足度も上がってきたと感じています。
スタッフの給料が1.5倍に
さらに店の改革を始めてから、スタッフは海外に修業に行ったり、他の店に移るために辞めていきました。今までは辞めたスタッフの分を穴埋めするために、すぐに募集をかけていましたが、試しに人を増やさずに店を回してみたのです。
3年前に9名いたスタッフは今、4名になっています。ぐんとコミニケーションも取りやすくなり、店はくるくるとよく回っています。
それに、スタッフは4名でも、就業時間は8時~24時半から10時半~22時に改善。星付きレストランは、朝早くに出勤して終電までという勤務もざらですが、だいぶ普通のビジネスマンレベルにまで近づけることができました。
にもかかわらず利益は過去最高を更新し、2019年の人時生産性は2018年比約3.7倍になりました。それに合わせて、スタッフの給料も1.5倍に上げました。一人一人が正しく努力すれば、自分たちの給料を上げられるんだということを証明できたと思います。