「現代のカフェは“しゃべり場”の象徴」

2020年6月20日、東京駅前の商業施設にあるサザコーヒーKITTE丸の内店で「ゲイシャ」の試飲イベントが行われた。ゲイシャとは現在最高級のコーヒー豆の品種だ。

クリアパネル越しの受け渡しはもうお馴染み。
クリアパネル越しの受け渡しはもうお馴染み。(時事通信フォト/スターバックス コーヒー ジャパン=写真)

この日は新社長に就任した鈴木太郎氏がゲイシャの魅力を紹介。イベントはオンラインでも同時配信された。「実店舗+ネット」の2本立ては、コロナ後の「今」を象徴する。

「現代のカフェは“しゃべり場”の象徴」──日本のカフェを生活文化の視点で研究する筆者は、何年も前からこう伝えてきた。

飲食店の「談笑」だけの意味ではない。各種のシンポジウムが、よく「××カフェ」という名称で行われたように、人が集まり・交流する場の代名詞となっていたからだ。

だがコロナによる外出自粛中は、集まりも交流も失われた。

この間、カフェチェーンは何をしたのか。最も積極的だったのは国内で1500店以上を展開する最大手のスターバックスだ。

スタバは約8割の店舗を休業とするまでは、ギリギリまで営業継続の道を探った。当初は「こんな時期だからこそ、くつろぎの場を提供することが使命」と表明していた。