コーヒーチェーン最大手のスターバックスは緊急事態宣言期間中、約2カ月におよぶ営業休止を余儀なくされた。集客が見込めない中、同社はいかにして顧客離れを防いでいたのか。経済ジャーナリストの高井尚之氏が取材した——。
開業25年で初めての長期休業
6月1日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために休業していた「スターバックス コーヒー」の店舗が、全国の大半の店で営業を再開した。
店により異なるが、4月9日から「当面の間」として休業に踏み切った店が多く、50日以上にわたり、実店舗の営業休止をしたことになる。
「明日から休業になりますが、いつまで続くか未定なんですよ」
休業前日の4月8日、東京都内のスタバ店舗を一般客として訪れた際、女性スタッフは、接客しながら残念そうにこう話した。実際、再開時期は直前まで社内で模索した。
1996年に日本1号店を開業して以来、25年。国内に1530店(2019年12月31日現在)を展開し、店舗数や売上高ともに圧倒的首位にたつ同社(運営はスターバックス コーヒー ジャパン株式会社)にとって、初めての長期休業だった。
コロナの対応は、まだまだ油断できないが、休業によって、店と顧客との関係にも変化が生まれた。今回はそれを紹介しよう。
また、日本のカフェを生活文化から研究する立場として、少し引いた視点で「カフェの役割」を考察したい。