「スターバックスの味わいをご家庭で」とSNSで発信

店舗が休業中でも、同社はオンラインでの販売を続けた。

「仕事がリモートワーク中心となり、多くの時間を自宅で過ごしたのもあるでしょう。オンラインストアでは、コーヒー豆や抽出器具をはじめ、ご家庭で楽しめるコーヒー関連商品の販売が好調でした。仕事や家事、育児の合間に、ゆったりとコーヒーをいれて味わうひとときが、多くのお客様の安らぎの時間になったのだと推察しています。改めて、日常に寄り添い、毎日にうるおいを与える、コーヒーの力強さを感じました」

スターバックスの広報担当者はこう説明し、次のように続ける。

「具体的な商品では、ミルクを加えるだけで、店舗のビバレッジのような味わいが楽しめる『スターバックス ヴィア ティーエッセンス ほうじ茶/抹茶』や、ミルクをふわふわに泡立てられ、ご自宅でもラテやカプチーノが楽しめる「ミルクフォーマー&カップ」が好調。ウェブサイトやSNSを通じて情報発信を行った、ご自宅でのスターバックス体験「Starbucks at Home」(スターバックス アットホーム)を楽しんでくださったお客様が多かったことがうかがえます」

スターバックス アットホームとは、「スターバックスの味わいをご家庭でも」を掲げて、オンライン上で訴求する取り組みだ。売り上げ数字は非公表だが、店に行けない間、多くのスタバ好きの“よりどころ”となったのだろう。

休業中にファンをどうやって増やしたか

もちろん、いくらブランド力の高いスターバックスとはいえ、商品をオンライン上で並べて説明するだけでは、売り上げ拡大にはつながらない。実店舗以上の創意工夫が必要で、「待っていてもお客は来ない」のだ。

休業期間中でも、公式Twitter、Facebook、InstagramなどのSNS投稿を実施。その時々のお客の気持ちを思い、それに寄り添った発信をし続けた。

具体的には3つの企画に力を入れたそうだ。同社に説明してもらおう。

(1)「ご自宅でのコーヒーのいれ方」
SNS上で「ご自宅でのおいしいコーヒーのいれ方」に関する質問を募集。予想をはるかに上回る多くの反応をいただき、弊社のコーヒースペシャリストが、寄せられた質問に回答する形で情報交流を行いました。

(2)「Message on the mug」
ご自宅でコーヒーを楽しんでいる様子の写真をフォロワーの皆様から募集。そのマグカップに、休業中の店舗パートナー(従業員)がメッセージを載せて投稿しました。お客様からは「読んでいると力がわく」「早くバリスタさんに会いたい」など温かいコメントが多く寄せられ、企画に携わったパートナーからも、「休業中でもお客様とオンラインでつながれてうれしい」といったポジティブな反応が集まりました。