合理的な業務設計をアップデートし続ける

そのムダのない仕組みに、僕はホレボレとしました。

村山太一『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)
村山太一『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)

星付きレストランは、僕の肌感覚だと2席あたりスタッフ1人程度が必要になります。僕の経営するレストランは24席あったので、12人スタッフを雇っていましたし、そういうもんだと思っていました。

サイゼリヤでバイトを始めたころは9人。それでも足りなくて、「もっと雇わなければ」と考えていたぐらいです。

サイゼリヤのすごいところは、一皿あたり0.1円単位でコスト削減や品質改善の努力を怠らないところです。10秒かかっていた作業を1秒減らすために、細部にわたって合理的に最短で働ける設計が至るところでしてある。そしてそれが常にアップデートされている。

例えば、レストランは通常キッチンは総店舗面積の3分の1がセオリーですが、サイゼリヤは5分の1です。それでも営業がちゃんとできるように、キッチンでの作業内容が設計されています。

人の動線も、仕入れ業者が入る場所とスタッフが動く場所が完全に分かれていて、それぞれに最適に設計されています。だから、忙しいキッチンに「まいど~」と仕入れ業者が入ってきて、「ジャマジャマ!」となることもない。

効率化専門部署があるサイゼリヤ

これは単にスペース効率が良いというだけではありません。動きが決まってるから、ミスや忘れることがないんです。

ちなみに本部にはエンジニアリング部と呼ばれる部署があって、スタッフの動きを徹底的に分析し、専用の機材をつくるなどして業務そのものを変えて効率化を進めています。サイゼリヤには、生産性を上げるためだけの部署が存在するのです。

他にも、細かいところでいろいろなルールがあります。時速5km以下では歩いてはいけないし、お皿やグラスを下げるときに何をどっちの手で持つか、下げたお皿を洗い場に置く場所と順番も全て決まってます。

そうやって小さなカイゼンを何百回も何千回も重ねるのがサイゼリヤ流です。