サイゼリヤ、客単価720円の「すごい生産性」

この人時生産性は、そのまま給料に反映されると思って間違いありません。これは定食屋だろうと同じです。だから飲食業界は仕事がハードなのに時給が安くなるんですね。

飲食業の給料はおおむね次のように決定されます。月の売上が約1200万円としたら、人件費として20%をスタッフに分配します。都心は家賃が高く、食材費も高級店は高くなります。

そのため、生活できるくらいの給料をもらえるのが、料理長、店長、副料理長、副店長、ソムリエ、サブソムリエの6人くらいまで。ほかのスタッフはもう目もあてられない給料で働いてるのが現実です。

僕が日本で修業していたとき、月給5万円、時給32円。そしてそこから包丁を買わされました(笑)。ちなみに、サイゼリヤは一番下っ端の僕で時給は1100円です。料亭や高価格帯レストランも今はここまでひどくはありませんが、労働基準法の範囲内であっても末端の子の給料は相当安いです。

これはオーナーが悪いとかそういう話ではありません。「構造」の話です。

話を戻すと、客単価720円のサイゼリヤに2万円の僕のレストランが全然及ばないんです。これは大問題です。作業の見直しや店のレイアウトを変えるぐらいでは、2800円の人時生産性の差は埋まりません。

24席をこなすことにムリがあるんじゃないか

そもそも、うちのキッチンの狭さで24席をこなすことにムリがあるんじゃないかと、そのとき気づきました。一番生産性が上がるのはどれぐらいなのかを割り出すと、16~18席がベストだとわかりました。

席数を減らしたら、その分売上は落ちると普通なら考えます。だから、できるだけ多くの席を設けて、それに合わせてスタッフも増やすほうがいい。それが普通のレストランの考え方でしょう。