勉強の遅れを文科省や学校がカバーするための3つの方法

休校期間中に「学習定着がなされていなかった」のは千葉県に限ったことではないだろう。他の都道府県においても同様の実態であることは想像に難くない。

このような結果となることは保護者や教員たちも薄々感じていたことだが、問題はこれからどのようにそれをカバーしていくのかということだ。

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その対策として、文科省はオンライン体制を急ぐことを発表している。上記の千葉県教育委員会の発表においても言及されている。筆者もオンライン化は重要なキーワードになると考えてはいるが、現実問題として、端末・通信環境・運用研修とそれに伴う時間と予算を考えると、短期での実現は極めて難しいのではないだろうか。

来年3月末で、2020年度の学年を終了させること(年度の延長をしない)が決定している以上、可能な対策は限定されている。現状から読み取ることができる対策としては次の3つが考えられるだろう。

1)現在の学習内容の取捨選択または繰り延べを行う

文部科学省は8月18日に各都道府県の教育委員会に対して、「最終学年(小6、中3、高3)以外の児童生徒に次年度以降を見通した教育課程の編成を認める」ことを正式に可能とする告示をしている。

しかし、そうなると他の学年を含むカリキュラムを全体的に組み直す必要が出てくる。また、学年間での引き継ぎで指導内容に漏れがないようにすることや、児童生徒の学習状況を適切に共有する作業もあり、教員の負担は計り知れないものがある。

しかも今後、休校がないことを前提に組み立てると予想されるため、再度の休校時には、さらなる改変をせざるをえず、さらなる混乱を招くのは必至だろう。

2)オンライン化を早急に実現する

教育現場におけるオンライン化は必須である。しかし、オンライン授業の体制を短期でどこまで本格的に整備できるかについては未知数であると言わざるを得ない。

現場の教員たちは、日々の授業準備や学級活動、生徒指導で多くの時間が占められているため、さらなる負担を求めることは物理的に難しい。

また、教育委員会がグランドデザインとしてどのような効果的仕組みを構築できるのかどうかもわからない。そもそも、オンライン授業といっても、動画配信することを意味するのか、それとも双方向型授業とするのかについても明確ではない。個人的には、高校生なら授業の動画配信とチューターとの定期的な面談で何とかなっても、小中学生の多くは双方向型でなければ難しいと考えている。

前述した通り、オンライン化は端末・通信環境・(教員の)運用研修の3つが成立しなければ機能しない。筆者は、オンラインは3年後をめどに完成させることが現実的だと考える。

付け焼き刃的なオンライン授業を提供したところで、成果は限定的となり、「オンライン化しましたが学力は定着しませんでした」と後々発表されることになれば後の祭りである。

名古屋市のように民間のオンライン授業を使用することも考えられるが、文部科学省が恒久的に民間の授業に委託する意思決定をするとは考えられない。それこそ「公教育とは何か?」が問われることは間違いないからである。