リアリティなのか、イメージなのか

こうしてチャレンジ動画の「リアリティ」は、テレビの視聴者投稿ビデオと同レベルの「イメージ」となる。世界中でもっとも多く視聴されているチャレンジ動画のひとつに、若い女性が桟橋の上で滑って転んで向こうずねを打ったシーンがある。この動画の視聴回数は30万2164回で、そのうち「高く評価」を押したのは1万7000人だったのに対し、「低く評価」を押したのはわずか182人だった。

だが、撮影者が滑って転ぶ前に「女だって水に飛びこむ勇気くらい持ってるのよ!」と宣言したことに対し、377人のネットユーザーが悪意あるコメントを書いている。いったいどんなことが書かれているか、いくつかピックアップしてみよう。

Shesounet(1年前)
おまえの向こうずねは、おまえのバカさ加減に耐えられなくなって自殺したんだ
B14091990(3年前)
これぞまさに素晴らしき現代のフランス人女性! バカバカしい!
crystal(1年前)
女とは抱かれるものであって、転ぶものではない
MonsieurPoptart(3年前)
ヒステリックなデブバカ女
sjdhsjd23(3年前)
やっぱりフェミニストは抜け目ないわ
faydeurshaigu(1年前)
あたしはオンナだけどさ、水に飛びこむのなんて、あたしにしてみたらちっとも男っぽい行動じゃないんだけど。この人、このチャレンジのせいで自分の理論を台なしにしてるんじゃない(^_^;)
AWAMcube(1年前)
この人って、単に、ええとなんて言ったらいいか……バカだわ、すっごいバカ
Cyril Benoit(2年前)
結局、この女、カメラの前で自分をアピールしたかっただけだろう。モチベーションがくだらないから、くだらない結果を引き起こすんだな
Kevin Prudhomme(2年前)
転んでるし(爆)。超痛そう(^ ^)

こうして見るように(余計な説明は不要かもしれないが)、投稿者とその動画は、ネットユーザーたちから「バカ」と裁かれ、悪意や女性差別(あるいは両方)の対象とされ、嬉々として侮辱され、見下されている。他人の「スペクタクル」がバカバカしく見えるほど、傍観者は大きな喜びを感じる。そして、自らの嫌悪感(このケースでは女性やフェミニズムに対して)や悪意を表明したり、罵詈雑言を浴びせたりすることに快感を覚えるのだ。