一部の人が主張するように、暗号資産が法定通貨に取って代わるようなことは当面ないと思いますが、今後、その地位が高まっていくのは間違いないと思われます。

今のうちに口座だけでも作っておこう

暗号資産は、今はまだ投機目的で使われることが多いですが、決済の簡単さと手数料の低さを考えると、そう遠くない未来に、決済手段としても使われるようになると思います。特に銀行経由での決済が難しい新興国との貿易では主流になるでしょう。私の予想では、海外との取引は、暗号資産とドルの二強になると見ています。

経済危機が起きてから口座を開くのでは遅いので、今のうちに、口座だけでも開設しておきましょう。かつて仮想通貨流出事件により、いくつかの取引所が閉鎖に追い込まれたことを踏まえると、取引所の安全性はチェックすべきでしょう。

暗号資産には、有名な「ビットコイン」「イーサリアム」「リップル」など様々な銘柄があり、日々、増え続けています。ただ、避難通貨という観点から考えれば、あくまで流動性の高いもの(多くの取引が行われているもの)を選ぶべきです。

そして、口座を開いたら、1000円、2000円と少額で良いので投資してみましょう。すると、暗号資産がどのようなものかが体感でき、どれぐらい資産を移すべきか、正しく判断できるようになるはずです。

コロナショックで高騰「有事の金」は本当に安全なのか

一方、「有事の金」という言葉があるように、危機時には金を買っておくべきだという主張が根強くあります。実際、このコロナ禍によって、金の人気が高まり、価格も高騰しています。

金は貴金属会社などで購入することができ、現物を買うだけでなく、ETF(上場投資信託)や商品先物、純金積立などの形で購入することもできます。

確かに金は、インフレ対応型の商品と言われており、選択肢の一つだと思います。ただ、私自身は金を買ったことがないので、自信を持ってお勧めすることはできない、というのが正直なところです。ただ、一つだけ言っておきたいのは、金をオールマイティと考えないほうがよいということです。

金の国際価格(ドル建ての金の価格)は現在、かなり高騰しています。2000年頃は1トロイオンス(約31g)=約300ドルでしたが、2020年5月現在は1700ドルを超えています。2000年頃と比べれば、6倍近い価格です。