8月4日、1都3県の知事は「最後の我慢」を訴え、旅行、帰省の原則中止や積極的なワクチン接種への協力を呼びかけた。評論家の山形浩生さんは「これまで何度、この手の台詞を聞いたことか。こんな呼びかけはいつまでも続けられるものではない。高齢者の命を守るために、若者や子供を犠牲にするのは、もうやめるべきだ」という――。(前編/全2回)
だれもこんなに長引くとは思っていなかった
オリンピックが無事すんで、世間の話題はまたもやコロナだ。デルタ株で感染者数急上昇。収束の気配は見られない云々。緊急事態宣言は当分続きそうだ。酒は出すな、外に出るな、会食はだめ、帰省もやめろ、あれはするな、これはダメ。それを守らない不心得者どもがけしからん……。
そしておそらく、ほとんどの人ははっきり思っているはずだ。
これって、いつまで続くの? いや、いつまで続けるの?
今回ですでに2回目の夏だ。だれもこんなに長引くとは思っていなかった。去年の3月頃、コロナが本格化した頃には、まあ多少は余裕を見て2020年9月くらいにはおさまるだろうと思っていた。用心深い人でも、年度開けくらいにはすべてが元に戻ると思っていた。
それがこんなに続くとは。しかも1年半たったいま、ほぼ抑え込んであとは残党処理、という状態ではない。ヘタをすると、これからさらにデルタ株の山がくるかもしれない。次もあるかもしれない。ワクチンも鉄壁ではないような話もある。
すると当然、だれもが内心思うだろう。これって本当に終わるの? でも、この状態が10年続けられると思っている人はいないはずだ。とすると問題は、いつまで続けるの、ということだ。
一般人の我慢は本来「オマケ」にすぎないはず
そもそも、コロナはウィルス性の病気だ。それに対応するのは、基本は医療だ。コロナ患者が増えたら、まずは医療で何とか対応するのが筋だ。
もちろん、世の中、すべて予定通りにはいかないのは当然だ。医療だけでは足りませんので、ご協力お願いします、というのはわかる。ぼくたちだって、すすんで病気にかかりたくはないし、人助けですと言われればそれなりに協力はしよう。でも、一般人の貢献は、あくまで医療のオマケであり、その補助でしかないはずだ。