なぜ行動制約と指図が対策のメインなのか

ところが現在では、コロナ対策で出てくるのは、すべてがぼくたち一般人への指図だ。あれをするな、これをするな。強制力はないからお願いです、と言いつつ、従わなかった店舗は罰金かけたり、さらしものにしたり。

なぜ本来はオマケであるはずのものが、コロナ対策のメインになってしまっているわけ? そもそも本質的におかしくないか?

メインとおまけの関係から言えば、医療での施策が主体であるべきだろう。医療方面で二つくらい大きな施策や進展があって、これだけやってますが、足りないので他のみなさんも是非ご協力を、と頼むのが筋だろう。それが、なぜ一般の人びとに対する行動制約と指図がメインになっているのか?

医療現場が頑張っているのはわかるが

もちろん僕たちが知らないだけで、どっかの密室では、医療方面で何やらすごい施策が次々に打ち出されているのかもしれない。2020年4月ごろのマスク対応は、いまにして思えば医療装備の確保として偉かった。そして当時「医療崩壊」と騒いでいた水準に比べ、2020年末から今年初頭のかなりの件数増大でも耐えられたということは、それなりに医療側でもキャパを増やす活動はしたんだろう。

その一方で、普通の病床はいくらでも空いている、病院がそれをコロナ用に使いたがらないだけだ、というのも報道で出てきた。だったら、コロナで医療逼迫というのは本当なの? コロナで入院できないだけで、それ以外の病床って空いているわけ? コロナ以外の病気で使える病床はあるということ?

(参考:「空き30万病床、コロナ向け転用進まず 役割分担が不十分」(日本経済新聞2121年7月31日」)

ワクチン接種についても、現場は対応できない、打つ人が足りない、という話はさんざん聞かされた。でも接種が始まったら、どこでも打ち手が不足して律速段階になったという話は聞こえてこなかった。むしろワクチンが追いつかないくらい。

すると本当に医療は崩壊してるんですか? そしてそれについては、どんな対応がなされているんですか? 医療側としてはいろいろ言い分はあるんだろう。でもその話は少なくとも表にはまったく出てこない。足りない、という脅しばかりが広まり、それ以外に医療制度側からの話といえば、医師会の親玉だのそのお仲間だのがふんぞりかえって、あれができんこれができん、もっと国民に我慢させろと言っているばかり。

現場はがんばっている——はい、それはその通りだろう。それについては、みんな感謝している。でも一方でツイッターでは「うちはもう病床埋まっちゃったのでこれ以上できることはありません。暇だー。行動を控えないおまえらのせいで医療崩壊してるけど、ワシら知りませんからね」みたいな居直ったツイートも流れてくる。

彼らとしては、危機感を広めようという善意ではあるんだろう。でも、コロナ拡大はおまえらの不心得のせいだ、おまえらの頑張りが足りないからだ、医療はもう何もしません——それは話がちがうだろう。医療関係者に感謝しましょう、みたいな話があったけれど、つなぎのオマケの立場でここまで頑張った一般国民こそ、本当に感謝されるべきだ。というのも、彼らの犠牲こそは壮絶なものだからだ。