中学生で育みたいのは「自己肯定感」

健全な高校生=「自己ベストの更新」を目指そうとする生徒、否、青年、としたときに、青年になるための準備が必要です。自己肯定感なくして、自己ベストの更新マインドセットはありません。

そもそも、自己肯定感は、どこから生まれるのか。「好きなことを、好きなようにやって、手応えを感じたところ」からです。そんな体験、それが「学習歴」です。高校生に先立つ中学生時代に大切なことは、「明るく、楽しく、一生懸命」に過ごすことです。自然体でそれが自分のスタイルとなれば、自分に自信がつくし、よって自己肯定感が育くまれると思います。

問題は、そういう場を、どのようにして学校がつくるかということです。私立中高一貫校というと、効率よく大学受験に対応するサービス機関というイメージがあることは理解しています。生徒が本気で希望していれば、当然、親身になって応援しますが、しかしそれは中高一貫校の終盤の局面です。

それよりもそこに至るまでのプロセスこそが、大切です。中学生のときに、「自分のアイデアを、承認してもらえた」「他者のアイデアを積極的に承認できる経験を得た」「ここで、仲間や教員と過ごす意味を見つけることができた」。そういう場を、学校がつくることができるかということが、より重要です。

学校が面白ければ、勉強好きになる

学校で一番長く過ごす時間は、授業です。だから、そういう実感をもてる授業をつくろうという思いでスタートしたのが、本校オリジナルの「アクティブラーニング」である、教科「理数インター」です。中学校全学年にこの新しい教科を導入するための職員会議で、私はこんな思いを伝えました。

「中学生に、この授業が一番面白いと、言わせてほしい」
「そのためには、教室仕様や授業ルールを変えていい」
「そもそも、生徒が英語や数学が好きになるのは、その先生を好きになるからであって、その前提として通っている学校が面白いからなので、その動線をみずから工夫してつくることのほうが大切だ」

校長もいい加減ですが、それを救ってくれたのは、そんな私の思いに応じてくれた教員がいたことと、生徒の反応です。生徒が、教科「理数インター」を楽しいと感じてくれ、それを見て当初は否定的だった教員が肯定的に意見を転じてくれたことで、私の中高一貫校イメージは、能天気ながら、成り立たせていただいています。