一括投資は避けたほうがいい

② 退職金や親の遺産などまとまったお金を使って一度に投資する

これは、特に、50代後半など退職金をこれから受け取る方や60代のすでに受け取った方、相続などでまとまったお金を手にした人が注意したい点だ。

もちろん、まとまったお金があれば運用できる商品の幅が広がるが、それでも一度に投資せず、投資期間や投資対象、銘柄など分けて投資した方が良い。

野村アセットマネジメントの投資家への意識調査(※)によると、今年3月下旬時点で、投資した株式や投資信託について、全体の6割で損失が発生しているという結果になった。

しかし、投資手法別の損益状況を見ると、「一括投資」の68%に比べて、「つみたて投資」の方が59%と10%近く損失は抑えられていることがわかる。

それでだけでなく、利益が出た、収支トントンなども、わずかな差だが「つみたて投資」の方が好成績だった。

とにかく、退職金は、余裕資金ではなく、大切な老後資金である。慎重に運用すべきだということだ。なお、退職金の運用について、詳しくは2019年4月15付コラム「退職金がみるみる蒸発する「2大理由」」もご参照いただきたい。

※野村アセットマネジメント「コロナが与えた影響とは?投資家意識緊急アンケート」3月25日~26日にかけて、2019年末時点で投資信託あるいは株式を保有していた5,322名を対象にインターネットで実施。

「性格」も判断材料になる

③ 自分の「リスク許容度」を適正に判断しない

リスク許容度とは、文字通り、投資家の許容できるリスクの範囲のこと。

例えば、「どれくらい投資元本がマイナスとなっても生活に影響がないか」「どれくらい投資元本がマイナスとなっても精神的に耐えられるか」などである。

リスク許容度をはかる客観的な要素は、収入や保有資産、年齢、投資経験、今後のライフイベントなどで、一般的に、年齢が若い方がリスク許容度は高い。

また、主観的な要素として、性格なども挙げられ、「投資金額がちょっとでも減ると、仕事が手につかない、眠れない」といった人は、そもそも投資には不向きである。

そして、今回のコロナ禍で、大きく収入が減った、住宅ローンが払えなくなった、子どもの塾代が払えなくなったなど、すぐに家計に影響が出た人は、今の時点で投資をすべきではない。やるべきは、家計の見直しと、生活費の3カ月から半年分くらいのイザというときのためのお金を貯めることである。

投資や資産運用は、これから人生100年時代を生き抜くために身に付けておくべきスキルだとは思うが、“絶対必需品”というわけではない。

あくまでも、個々のリスク許容度に応じて行うものだということを知っておいていただきたい。

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