それだけではありません。9つの研究論文を統合解析したメタアナリシスによれば、加工肉の摂取量が多くなると全死亡率、脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化による死亡率、がんによる死亡率が、いずれも上昇することがわかりました。また、5個の研究論文をまとめたメタアナリシスで、脳卒中を起こすリスクについて調べたところ、加工肉の摂取量が1日当たり50グラム増えるごとに13%増加し、赤い肉の摂取量が1日当たり100~120グラム増えるごとに11%上がることが明らかになりました。
なお、肉は肉でも、鶏肉のような“白い肉”は、体に悪い肉とはされていないので、肉を食べたい人は、鶏肉を選びましょう。代わりとなる動物性たんぱく源としては、魚もお勧めです。一方で、高齢者については、若い世代とは同列に考えないほうがいいかもしれません。食の進まない高齢者であれば、食事制限をするよりも、好きな赤い肉を食べるほうが、低栄養に陥らずにすむこともあるからです。
卵についても、「摂りすぎは体によくない」というエビデンスが示されています。16の研究データをまとめたメタアナリシスによると、卵を1日1個以上食べるグループの人は、卵をほとんど食べないグループの人よりも、2型糖尿病を発症するリスクが42%上昇しました。19年に発表された研究報告でも、約3万人を追跡調査したところ、卵を食べる量が増えると、心筋梗塞や脳梗塞になるリスク、それらによって死亡する可能性が高まったそうです。
野菜は心筋梗塞・脳卒中のリスクを減らすか?
野菜が“体の毒”になってしまう
皆さんの中でも、野菜が「体に良い食品」だというイメージは、すでに定着しているのではないでしょうか。実際に、これまでのさまざまな研究によって、健康に対する野菜の効果は、立証されています。ただし、ここで気をつけておきたいのが野菜の摂り方。摂取の方法によっては、野菜が“体の毒”になってしまう場合さえあるのです。そこで、ここでは、エビデンスに基づいた、野菜の正しい摂り方をご紹介しましょう。
まずは、野菜の健康効果についてのエビデンスを、いくつか挙げてみましょう。なお、野菜には、キャベツやニンジン、トマトといったさまざまな種類がありますが、ここで示すエビデンスは、特定の野菜ではなく、いろいろな野菜をバランス良く食べたケースだと、お考えください(ただし、炭水化物が多いジャガイモは含めない)。