企業には固有のタクトタイムがある

昔、経験した住宅産業でも同じでした。

三谷宏治『戦略読書〔増補版〕』(日本経済新聞出版)

営業担当者は施主と週末土日に打ち合わせます。その要望を月曜日にまとめて設計担当者に送ります。設計担当者は火曜日に作業をして、水曜日の設計会議にかけて承認を得ます。その結果が木曜日に営業担当者に戻されて、また週末の施主打ち合わせに使われるわけです。

固有タクトタイムはやはり1日であり、1周するのに1週間かかります。それを崩すような「緊急対応」「特急処理」は組織の生産性を、著しく低下させることになってしまいます。でも、最近は施主側とメールなどでのやり取りが増えて、「打ち合わせは週末まとめて1回だけ」なんて悠長な感じではなくなってしまいました。施主からの要望は24時間365日、「随時」やってきます。なのに、組織の固有タクトタイムは1日で、しかも曜日が決まっています。たとえば水曜日に施主からもらった要望も、設計に渡せるのは次の月曜日で回答は木曜日、つまり返答に8日もかかることになります。

でもこれを変えることは、極めて難しいことでした。

抽象化で斜め読みの効果・効率がぐっと上がる

抽象化して考えることで、その本質が見えてきます。そして、他の業界とのつながりや差異がハッキリします。

また、そういうレベルに昇華して覚えておくことで、次に別の情報が来たときに、心に引っかかりやすくなるのです。斜め読みの効果・効率がぐっと上がります。

たとえば「組織の固有タクトタイムと顧客ニーズのズレ問題」、身の回りで思い当たることはありませんか?

発見型読書の5つの視点
視点① 過去や他業界と「対比」して大局観を持つ
視点② これまでの当たり前を覆した「反常識」を見つける
視点③ 徹底的に「数字」にこだわる
視点④ 人より「一段深く」まで調べる
視点⑤ 得たものはちょっと「抽象化」して考える・覚える
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