本や雑誌から効率よく情報を得るにはどうすればいいのか。KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院の三谷宏治教授は、「コツは5つある。それらを実践すれば、文章からより多くのことを読み取れるようになる」という――。

※本稿は、三谷宏治『戦略読書〔増補版〕』(日経ビジネス人文庫)の一部を再編集したものです。

同じ文章を読んでもなにが読み取れるかは全然違う

同じ文章を読んでも、そこから何が読み取れるかは、人によって大きく違います。それを「読め方」と呼びましょう。

本や雑誌を人の2倍(たとえば年間100冊でなく200冊)読むことは容易ではありませんが、1冊から面白い点を人の5倍見つけることは十分可能です。いや、10倍だって可能かもしれません。

だとしたら、最後に大きな差を生むのは、読む量や読み方ではなく「読め方」なのでしょう。私はここが、ちょっと得意だったりします。

たとえばこんな文章があったとしましょう。「日経ビジネス」(2015.6.22)でのYKK特集記事『高品質の“呪縛”、「量」で断ち切る』です。6頁にわたるその記事の概要はこうです。

リード:ファスナー世界最大手が、「質」に加えて「量」も追求する戦略へとかじを切った。品質の良さを武器に金額で世界シェア4割を押さえたが、数量では2割に留まる。「このままではジリ貧」という危機感から、攻めあぐねていたボリュームゾーン攻略に乗り出した。
小見出し:
ファストファッションに出遅れ
試作3日、量産5日、遅れゼロ
門外不出だった材料の生産
「過剰品質」から「十分品質」へ
コラム:
「YKKの基準」ではなく「服の基準」で品質を決める
「安かろう、良かろう」で勝つ