「やっとコーヒーが飲めるようになった」

「カフェはしゃべり場の象徴」と、何年も前から説明してきた。例えば業界団体や自治体のシンポジウムでも「××カフェ」と名づけるケースが目立ったからだ。つまり、飲食を伴わなくても、人が集まり・交流する場所には「カフェ」の名称が使われた。

だがコロナでは、会話や交流が断たれた。それが復活した時、人はどう思うのか。

今でも忘れられない光景がある。

2011年3月11日に起きた東日本大震災から11カ月後。2012年2月、仮設プレハブで営業を再開した宮城県気仙沼市の「アンカーコーヒー」取材時に、店の入り口で会った女性2人組はこう話した。

「やっとコーヒーを飲める状況になったので、震災後初めての来店です。以前はカフェラテをよく飲んでいたけど、今日は抹茶ラテでしたけどね」と笑顔を浮かべた。

被災した2人は、それまで後片付けに追われて、ゆっくりコーヒーを楽しめる状況になかった。1年近くたち、ようやくその時間を手に入れたのだ。

実店舗だけではない「カフェの役割」

当時から8年。デジタル化が進んだ今回、スターバックスへの思いはどうだったのか。

「一部の店で営業を再開した折には、Twitterで『#スタバ再開』がトレンドワード入り(5月19日 10:30時点)。『待ってました!』『ありがとう』などのコメントが多数寄せられ、大きな反響をいただきました」(広報担当)

筆者撮影
新宿サザンテラス店

コロナの第2波が警戒される中、お客の衛生意識の高まりや、店の環境にもよりケアしなければならない。スターバックスも非接触で注文・決済ができる「モバイルオーダー&ペイ」と呼ぶサービスや、デリバリーサービスを拡大していくという。

スタバに限らず、カフェの役割である「サードプレイス」は実店舗だけではない。本質的には、自宅で過ごす顧客の心の中にも存在するだろう。それでも「外食の楽しさ」や「町のうるおい」として、店舗の存在は欠かせないのだ。

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