ズムメシ参加者には税込7000円の通販セットが届く

ズムメシ当日は厨房で料理長があんこうをさばく様子も中継(写真左)。厨房を撮影する様子(写真右)

ズムメシは、「飲食店」「ファシリテーター」「参加者」の三者で開催します。飲食店はメニューと開催日時を設定し、FacebookやツイッターなどのSNSを使って告知します。参加者から申し込みがあったら、食材をそれぞれの自宅へ発送して、当日はオンラインでお客さんをもてなします。

ファシリテーターは、いわば宴会の幹事役。飲食店のメニュー作りや告知を手伝いながら、SNSで飲食店と参加者をつないで開催日まで盛り上げていき、当日は司会進行を務めます。なお、この三者に加えて、食材の生産者が参加することもあります。

参加者のもとには、開催3日前に手配した食材の通販セットが、開催前日から当日までにチルド便やクール便で届きます。食材は調理済みなので温めるだけ、もしくはそのまま食べられるものばかりで、参加者は調理の手間もなく準備もラクです。通販セットの価格は店舗ごとに異なりますが、2~3人前で4000~1万円(送料税込)です。いつもの料理のほか、オリジナルメニューを提供している店舗もあります。

「料理長や生産者の顔を見ながら話す」という新体験

ズムメシ参加者に事前に展開する案内文

ズムメシ当日は、2時間ほどの開催となります。例えば4月27日に東京・世田谷の「讃岐うどん酒房 かんま」で開催したときは、18時半から参加者が順次Zoomに入り、19時にみんなで乾杯してズムメシがスタート。

全国各地の参加者がリレー形式であいさつした後、うどん店の厨房と食材を提供してくれた富山県朝日町の泊(とまり)漁協から、料理長と生産者がメニューや食材について説明しました。

19時40分ごろからは歓談&食事タイムに入り、参加者が料理長に質問したり、参加者同士で会話したりと自由に時間を過ごします。少人数で話したい人のために、4~5人で会話できるブレイクアウトルーム(Zoomの小部屋機能)も用意しました。

20時になると、今度は奄美大島の焼酎生産者ともZoomでつながり、夜の酒蔵を案内するレポートを開始。20時20分から再び参加者たちがリレー形式で今日の感想を伝え合いました。20時35分からは「フォト鍋コンテスト」の受賞者を発表。

これは参加者がそれぞれの自宅から当日のメニューであるアンコウ鍋の写真を投稿し、“映え鍋”具合を競うもの。受賞者には、うどん店での1日食べ放題チケットや食器などがプレゼントされます。

最後に今後のズムメシを予告し、20時45分でお開きとなりました。

開催するお店によって多少の違いはありますが、これが基本的なズムメシのタイムスケジュールです。このうどん店で開催したときは、料理長が讃岐うどんの出汁の引き方や「伊吹いりこ」を使っていることなど、店ならではのこだわりについて丁寧に説明したり、参加者から「冷やかけ出汁と温かけ出汁の違いは?」といったうどん通らしい質問が出たりと、会話が弾みました。

リアルで営業しているときは厨房で調理に専念しているため、料理人がお客さんと直接会話する機会は意外と少なく、よほどの常連さんではない限り、料理についてここまで踏み込んだ話をすることはめったにありません。でもズムメシならインタラクティブなコミュニケーションが活性化され、お客さんも普段は見られないバックヤードの様子を知ることができ、生産者である農家や漁師さんとも顔を見ながら会話できる。

オンラインを活用することで、従来の飲食店にはないエンターテインメント性が生まれたことは大きな発見でした。