東京から福岡、そしてインドまで旅できる

こうしたズムメシの魅力を運営メンバーも実感したことで、ぜひこの活動を全国に広めたいと話し合うようになりました。メンバーたちは食を求めて各地を旅している人間が多かったので、訪問先で知り合った仲間やその友人などに声をかけて、ズムメシに興味を持ってくれるお店や生産者を集めました。

その結果、ズムメシの開催店は鹿児島、広島、山形など全国に広がっていき、何度も参加してくれる「ズムメシフリーク」も現れました。ゴールデンウイークには、「日本と世界を旅するGWズムメシワールド」を企画。

オンラインで各地をつなぎ、インド、イタリア、メキシコ、青森、東京、富山、広島、福岡、奄美大島に旅できるメニューをそろえました。インド料理やメキシコ料理をオンラインで習ったり、広島の地ビールを飲み比べたり、福岡の赤崎牛を堪能したり。日本全国へ、そして世界へと、ズムメシの活動フィールドは拡大しています。

GWに開催されたズムメシ・インド編の様子。インドムンバイ在住のアカーシャ氏の料理が伝授された
GWに開催されたズムメシ・インド編の様子。インドムンバイ在住のアカーシャ氏の料理が伝授された

新規顧客を開拓し、リピーターを創出する

当初の狙いだった売り上げ確保とファンづくりも、順調に機能しています。マーケティングの視点で言えば、ズムメシは「ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)」を高める仕掛けです。一度ズムメシを体験した人が、通販のリピーターになる。あるいは、将来店舗にも行ってみようと考える。ズムメシは「新規顧客の開拓」と「リピーターの創出」という2点において、飲食店に貢献しています。

その貢献を果たすためのポイントとなるのが、コミュニケーションサポートです。ズムメシが開催されるたびに参加者のスレッドが立ち、開催の約1週間前から盛り上がって、終了後も2週間近くは自然と交流が続きます。

残った鍋の出汁やポン酢を使ったアレンジ料理を披露したり、生産者や料理人のファンになったと書き込みがあったり、「コロナが収束したら、お店や生産地がある地域を旅しよう!」という声もたくさん上がっています。

そのコミュニケーションを支えてくれるファシリテーターも各地に増えつつあり、地元飲食店のズムメシ開催を支援しています。

3月30日から5月10日まで17回の開催で、281人が参加し、150万円を売り上げています。1回あたりの参加者数15人、ズムメシセットを4000~1万円とすると、飲食店は6万~15万円の売り上げを得ることができます。各店舗で使用するオンライン決済方法はさまざまですが、売り上げはすべて開催店舗に入る仕組みになっています。

もちろんズムメシだけでは飲食店を支えることはできませんが、コロナ禍で生き残るためには少しでも売り上げを確保することが大切です。そんな想いからズムメシは始まりました。しかし今では、オンラインでの“密なコミュニケーション”を通じて、この趣旨に賛同してくれる仲間やお店のファンの人たちとのつながりができたことが、何物にも代えがたい価値だと思っています。

新型コロナとの闘いはまだまだ終わりが見えませんが、ズムメシの広がりを通して飲食店と利用者の新しい関係づくりをスタートさせ、地域の魅力度を向上させていきたいと思っています。興味のある方はぜひ、ズムメシに参加してみてください。

ズムメシのしくみ
ズムメシが大切にしていること
<ズムメシ>
note: https://note.com/zumumeshi
【関連記事】
「1カ月休業で5カ月の利益が消える」一目で分かる飲食店の収益構造
飲み会、恋愛、政治参加…イマドキ若者に学ぶ「自粛中のすごい休日の過ごし方」
Zoom会議で初心者がついやってしまいがちなマナー違反5つ
Zoom会議で「この人慣れてるな」と思わせる、ワンランク上のテク5つ
コロナのせいで「売れまくった商品」「売れなかった商品」トップ30