iPhoneシリーズでは前代未聞の安さ

SEの画面ロックは8同様、指紋認証で解除する。少し時代遅れの感もあるが、外出時のマスク着用が呼びかけられる昨今の状況では、偶然にもそれがありがたい機能となっているという。

「顔認証だと、マスクをしたままでのロック解除ができません。スマホを使うたびに外したりずらしたりするのではマスク着用の意味がありませんから、パスコードを自分で毎回打ち込むことになるのですが、けっこう煩わしいものです。それが指紋認証だとマスクをしたまま、指を置くだけで済みますからね」

64GBモデルで税別4万4800円は前代未聞の安さ。

そして何よりの魅力はやはり、価格だ。

「そもそもの正価が安いうえ、キャリアのサイトやショップで買えば割引が少なからずあり、さらに買い替えプログラムを利用すれば、実質2万円台から購入できます。新品でこれほど安いiPhoneが手に入るのは、前代未聞のこと。カメラ性能もよほどのマニア以外なら十分満足できるレベルですから、ひとことで言えば、多くの人が買って満足できる端末。『スマホにあまりお金をかけたくないけど、iPhoneがほしい』という層にぴったりで、1、2年かけて安定的に売れていくでしょう。8など旧機種のiPhoneユーザーや、ガラケーからスマホに変えようと考えている人、初めてのスマホを持つ学生などからの需要はもちろん、同じ価格帯のAndroidスマホにはキャリアの割引や買い替えプログラムが適用されていないことが多いので、そのあたりのユーザーもごっそり持っていきそうです」

コロナ禍にもiPhone知識のある人は対応できるが…

ところが、満を持しての戦略モデル投入というタイミングで、新型コロナウイルスの感染が世界規模で拡大し、日本では緊急事態宣言が発令された。それを受けて携帯大手3キャリアは、4月27日の予定だった公式サイトやショップでのSEの発売を、5月11日に延期している(アップルのオンラインストアや家電量販店では、予定通り24日から発売)。こうした状況は、SEの売れ行きにどんな影響を与えるのだろう。

「外出自粛で実店舗になかなか行けないとなると、SEは今後しばらく、オンラインで売れる傾向が顕著になるはずです。iPhone全般に言える強みは、誕生当初から基本的な操作手順が変わっていないため、新型といえどもiOSの操作体系の想像がつくこと。だからそれなりにiPhone知識のある人なら、オンラインでも心理的負担がなく機種変更できますし、iCloud経由で大部分のデータが簡単に移せるので、コロナ禍の影響はあまり受けずにすむかもしれません。これがAndroid機になると、メーカーが変われば操作体系も変わってしまうし、OSのバージョンによっても操作の違いが出てくるので、店舗で実機を触ってからでないと新機種には手を出しにくいんです」