骨のある官僚が左遷される現状

この現象は2020年度に限っていえば、新型コロナウイルスの感染拡大により、いったん頭打ちになるでしょう。不況になると公務員を辞める人が減るからです。しかし「コロナショック」が収まればこの傾向は確実に再燃するでしょう。

なぜ公務員離れが加速しているのでしょうか。それは「安定して給料が高い」という公務員メリットを、後述するデメリットが上回ったからでしょう。今回の記事ではそのデメリット、つまり若者が公務員離れを起こした3つの理由を説明します。

1つめの理由は「イエスマン化」です。2014年に内閣人事局が設置されて、キャリア官僚の頂点にあたる300人ほどの高級官僚の人事権を官邸が握ることになりました。それを境に5年間で官僚の弱体化が目を覆うほどの酷さで広がりました。骨のある官僚が左遷されて、政治家にとって使いやすい官僚が重用された結果です。

キャリア官僚になる最大のモチベーションは国政の中枢を担うための責任と権限があることでした。それが、政治家の思いつきや利権に振り回されるようになった。上がイエスマンなら下もその意を汲んで動かなければなりません。

優秀な官僚にとっては、突然の休校指示が引き起こす育休支援策の検討、外出自粛拡大にともなう経済支援のための和牛券検討など、上から降りてくる不可解な仕事は屈辱以外の何物でもありません。そうした年齢の近い先輩たちの様子を見れば、東大法学部の学生が国家公務員の総合職を見限る理由もわかるというものです。

働き方改革を無視したサービス残業が当たり前

2つめの理由は、「残業の多さ」です。特にキャリア官僚はサービス残業が常態化していると指摘されています。

かつてはキャリアを上り詰めるたびに、絶大な権限が与えられました。それが残業の多さを補ってあまりある報酬となっていました。しかし、そのキャリアレースが実力ではなく「イエス」といえる能力で測られるようになってしまったのです。このため、まだこの世界にどっぷりとつかっていない若手実力派は、今が離脱タイミングと考えて霞が関を離れるようになりました。

これまで公務員は「仕事がヒマで17時には帰宅できる」と民間企業から陰口をいわれていましたが、実態としては残業時間が増加しています。2015年度に総務省がまとめた調査では、地方公務員の残業時間が158.4時間となり、民間事業所の残業時間154時間を上回る結果になりました(出所:地方公務員の時間外勤務に関する実態調査)。

国家公務員の場合はさらにひどく、残業時間は全体平均で235時間、そのうち本府省では366時間と霞が関の残業量が突出しています。民間では36協定を超える違法であり、過労死ラインの目安とされる720時間を超えて勤務する国家公務員が全体の8%もいます。でも、それが社会問題になる気配すらない。いまや公務員のほうが激務なのです(出所:公務員白書)。

さらに公務員の中では教員もサービス残業の多さで不人気になっている典型職種です。教員に限らず公務員の場合、その給料の全体額は予算で上限が決まっています。そのため、実態としてはタイムカードを設置せずに「正確な勤務時間が把握できない」という理由で残業代を払わない手口が横行しているのです。