リモートワークの成功は「信頼関係」にあり
少々強引にリモートワークの効能を語っているように映るかもしれないが、決して適当なことを述べているわけではない。私はフリーランスのライター・編集者として、かれこれ19年ほどリモートワークを実践してきており、その勘どころについて十分に理解している。そんな私が、リモートワークで仕事をこなし続けられたポイントを紹介していこう。
現在、仕事に関する電話は2日に1回程度しかかかってこないし、自分からかけることはほとんどない。スマホは持っておらず、仕事はPCのみで行っている。また、LINEやフェイスブック・メッセンジャーといったチャットツール、SlackやSkypeなどのビデオ会議用ツールを使ったことは一度もない。業務に関する連絡は、緊急対応がどうしても必要な場面でやむを得ず電話を用いる以外、すべてメールだ。
そして、逆説的な話になってくるのだが、リモートワークをうまく進めるにあたり、もっとも重要なことは何かといえば、これに尽きる。
自分の人間性が仕事相手に認められており、互いに良好な信頼関係を構築できていること。
「リモートワークだからこそ、チャットツールやビデオ会議ツールなどを用いて密な連絡を取ることが必要」という発想ではなく、「密な連絡を取らなくても相手のことを察したり、相手の期待に応えようという気持ちに自然となれたりする、信頼関係を築くことこそがリモートワーク成功のカギ」と、私は考えている。
外注先として、商流の末端に位置する場合
私のようなフリーランスが制作系の案件に関わる際、打ち合わせをしたり、相談をしたりするのはクライアント企業の本社にいる正社員なのだが、日々の業務を回していくにあたっては、クライアント企業の子会社や外注先である制作会社のスタッフと頻繁にやり取りするケースが非常に多い。
たとえば、広告代理店が手がける某社のPR企画でウェブコンテンツを制作することになり、案件の企画立案や全体の方向性に関わるのは広告代理店の正社員だが、実際のコンテンツ制作は子会社が担当し、日々の更新業務で窓口に立つのは子会社の契約社員……みたいな構造である。ときにはその配下に、記事の校正を担当するフリーランスであるとか、子会社が発注している地方の孫請け制作会社などが存在することもある。
そうした場合、私の立場はどのようなものになるか整理してみよう。
まあ実際は、クライアント企業の正社員と私はそれまでに何度も仕事を一緒にしていたり、飲みに行くような間柄だったりするケースも少なくないので、プロジェクト内で存在感や影響力をそこそこ発揮できる場面も多いが、商流としては建前上、末端に位置する。