「週末に寝溜めしておこう」はほぼ無意味

しかし残念ながら、睡眠は貯蓄ができません。「週末に寝溜めしておこう」とか、「来月は忙しくなるから、今月はたっぷり寝ておこう」などという行為をしても、ほぼ無意味なこと。仮に、週末にたっぷり寝たとしても、それは、それまで溜まっていた眠りの借金をほんの少しだけ返済できたに過ぎません。

そもそも、自分の睡眠不足が慢性なのか、急性なのかもわからないままですから、なかなか改善はされず、気づかないうちに眠りの借金はどんどん溜まります。

ペンシルベニア大学などの研究チームが行った研究で、知らないうちに蓄積されていく睡眠負債の怖さがよくわかる実験があります。

その実験によると、「6時間睡眠を2週間続けると、集中力や注意力は2日間徹夜した状態とほぼ同じレベルまで衰える」ということが明らかになりました。2日も徹夜すれば、間違いなく疲れや眠気で頭がぼーっとして働きが鈍くなることを自覚します。しかし、6時間睡眠を2週間続けた人は、自分の脳が正常に働いていないことに気づきません。そこに、睡眠負債の怖さがあるのです。

ミスや事故、取り返しのつかない失敗などは、危ういという自覚症状がないときに起きるものです。自覚があれば慎重に対応するでしょうし、自信がなければほかの人に任せるという選択肢もあります。そう考えると、わたしたちは、もっと睡眠負債について知るべきではないでしょうか。

時間がなければ、せめて眠りの質を高めよう

そんな怖い睡眠負債が溜まっている人は、どうすればその“借金”を返すことができるのでしょうか。

西野精治『睡眠障害 現代の国民病を科学の力で克服する』(角川新書)

結論から言うと、睡眠負債を解消する根本的な方法は、まだわかっていません。睡眠が足りているのか足りていないのかを、脳がどうやって認知しているのかが解明されていないからです。

いま言えるのは、きちんとした睡眠習慣を身に付け、個人に必要な睡眠時間を十分に確保することです。

眠りの借金は、やはり、きちんとした眠りで返済するしかないのです。

どうしても寝る時間を十分につくれないのであれば、せめて眠りの質を高めることが必要でしょう。

もちろん、時間的に十分に眠れても、眠気が残っていたり、疲れが取れていなかったりするのは、よい眠りとは言えません。眠りの満足度が出るのは、目覚めたときの感覚です。「すっきりした」とか、「よく眠れた」という満足感があれば、睡眠の質は満たしていると捉えていいと思います。

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