「アシスタントなし」なら売上の50%が美容師に

そんななか、美容室の空いたスペースをフリーランスの美容師に貸し出す「面貸し」や、「シェアサロン」も増えている。オーナーにしてみれば人件費を増やさずに空いた席を有効活用できるほか、独立したい美容師にとっても、店舗を構えるための資金がいらないなどのメリットがある。

売上が伸びにくい状況なのに、人手不足でアシスタントの初任給は上向き。となれば、そのしわ寄せは当然、スタイリストに来る。限られたパイの中でスタイリストの給与を上げたい美容室のなかには、新卒を雇って一から人材育成するのをやめ、中途採用や業務委託だけで運営するケースも増えている。

「業務委託の場合、場所と集客、薬剤などにかかる費用は店側が負担します。アシスタントとスタイリストもいる通常のサロンだと、スタイリスト美容師への還元率は売上の20%程度ですが、アシスタントを雇わない業務委託中心のサロンの場合、スタイリスト美容師への還元率は売上の40%から50%程度にまで上がります」

ただし、動きは一様ではない。先の流れとは反対に、これまで業務委託中心でやってきた美容室が、人手を確保したい理由からあえて新卒採用に踏み切る例も出てきている。生き残りを模索するなかで真逆のベクトルを向いたさまざまな動きが複雑に絡み合って出てきているのが、昨今の美容業界だ。

生き残りのカギは「客数」と「客単価」

では今後、どのような美容室が生き残るのだろうか。「美容室の売上は基本、客数かける客単価で決まります。1人あたりの生産性を上げるには、客数を取れるサロンになるか、客単価の高いサロンになるかしかありません」と、富成氏。

「じつは、利用者から見るとカットの上手い、下手ってよくわからない。技術としては、非常に見えにくいものを売っているのが美容室です。その場合、価格が安い方が選ばれやすいのは自然の摂理。付加価値を付けるには、カットの技術に関して特許を取るか、カット以外の部分、髪質改善や美髪系のメニューを充実させるかなどの工夫が必要。現状は安さで勝負するところと付加価値をつけて勝負するところに二極化しています」