カラー専門店で働く美容師は、どんな人たちか

客のニーズに応えつつ働く側のニーズもうまく捉えているのが、カラー専門店だ。美容師の資格を持っているけれども美容師としては働いていない人を、業界では「休眠美容師」と呼ぶ。カラー専門店は、そんな約70万人いると見込まれている休眠美容師を活用しながら成長している。

「カラー専門店で働いている人には主婦が多い。子育てなどでブランクがあっても、カラーならば比較的技術が簡単で覚えやすいですし、残業もなく、営業時間内に終わる店がほとんどのため、美容師として働きたいが家庭生活も重視したいという人の受け皿になっています」

美容師のなかには、フリーランスとして複数の美容室を掛け持ちしたり、平日は違う仕事をして、土日だけ美容師として働いたりする人もいる。美容師の働き方も多様化が進み、そうした多様な働き方と雇用形態を経営にどう取り入れていくかが、美容室経営者にとっての課題だ。

富成氏は店舗が小型化していく状況は今後も続くと見ている。同時に、店舗の統合やM&Aも増えていくと予想する。

「経営環境としては厳しい状況が続きますが、美容室が今後、より注目を浴びるビジネスの一つになる可能性はあります。女性が定期的に来て、長時間過ごす場所というのは、じつは世の中にあまりない。美容室を販売チャネルと考えた場合、そこにビジネスチャンスがあると捉えている人は多い。インスタグラムなどSNSを活用しながら成長していく余地はあると思います」

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