セルフメディケーションとは何か
平成29年、医療費控除に特例が加わった。セルフメディケーション税制だ。ある一定の取組を行えば医療費控除が受けられるというものだ。
健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12000円以上の対象医薬品を購入した場合には、「セルフメディケーション税制」(通常の医療費控除との選択適用)を受けることができます。
「一定の取組」というのは以下の通りである。
2.市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】
3.予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
4.勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
5.特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
6.市町村が健康増進事業として実施するがん検診
なお、申告される方が「一定の取組」を行っていることが要件とされているため、申告される方が取組を行っていない場合は、控除を受けることはできません。
そして、「対象医薬品」とは、一定の有効成分を含むとして厚生労働省から指定を受けた「スイッチOTC医薬品」のことである。スイッチOTC医薬品にはレシートに★や●などの印がつくので一目瞭然だ。
「健康診断の受診」などが要件
本来、健康診断は予防としての取り組みであるため、医療費控除には該当しない。健康診断を受けて病気が見つかった場合に限って、その費用も医療費控除に含めてよいということになっていた。
それが一転して、医療費控除の中のセルフメディケーション税制を受ける要件になったのである。サラリーマンであれば、健康診断はほとんどの人が受けているはずだ。
セルフメディケーションとは、WHOの定義で「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てをする」ことをいう。
しかし、このセルフメディケーション税制、なんだかわかりにくい。筆者が風邪のひきはじめによく服用する薬は、漢方が主に処方されているため、スイッチOTC医薬品ではなかった。M‐1グランプリ2019で優勝したミルクボーイが「名前を忘れてた薬がある」といって掛け合いをする「湿布」は、スイッチOTC医薬品のリストにあがっている商品もあれば、あがっていないものもあった。