新型コロナウイルスの影響で売り上げが大きく落ち込んだ事業者は、上限200万円の「持続化給付金」を受け取ることができる。ただ、この給付金は原則課税対象なのだ。元国税調査官で税理士・産業カウンセラーの飯田真弓氏は「持続化給付金に関する政府の説明は、さまざまに受け取れる言葉が使われており、わかりにくい。あまりに不親切だ」という——。
たくさんの請求書に、途方に暮れる女性
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「収束」か「終息」か…日本語は難しい

全世界を震撼させた新型コロナウイルス。日本では、5月中に全国で緊急事態宣言が解除された。道のりは長いかもしれないが、少しずつ、今までの生活を取り戻していくことになるのだろう。

新型コロナウイルスの報道がなされた当初、実家の母とこんなやりとりがあった。

【母】新型コロナウイルス関するニュースで、“収束”という漢字を使っている放送局と、“終息”という漢字が使っている放送局があるけれど、どっちが正しいの?

【筆者】そんな、チャンネルごとに違う漢字を使うことなんかあるのかなぁ? 見間違えたんじゃないの?

【母】そんな、私がボケてるみたいに言わんといてよ! 確かにこの目で見たんやから。NHKと民法で違う漢字を使ってた。やっぱり、NHKの方が正しいんやろかねぇ?

私も文字を使って文章を書くことを仕事にしているので、ちょっと気になり、調べてみた。

母が言ってきた通り、“しゅうそく”の音を表記する漢字は、“終息”と“収束”の二つあった。漢字それぞれの意味から考えられる通り、“終息”は息が絶えるように終わるので、完全にそのことが終わること。“収束”は、いったんは区切りとして束ねることができるような感じで、落ち着くといったニュアンスのようだった。

母が言っていた通り、新型コロナウイルスが報道されはじめた当初は、それほど長引くものではないだろうという感覚があり、すぐに“終息”を迎えるだろうという希望的観測の意味を込めて、“終息”の漢字を使っていた放送局もあったのだろう。

事態は日々深刻化し、緊急事態宣言が出される頃には、テレビの画面で“終息”という文字を見ることは少なくなっていたように思う。

とかく、日本語は難しい。筆者自身、記事の中で言葉足らずな部分をご指摘いただくことが多いのも、日本語が難しいゆえんだろう。今回の新型コロナウイルスは、全国民に関する問題だ。使う言葉については、一つひとつ吟味し、本来意図することが正しく伝わるような努力や配慮が必要だと思う。