はっきりしない文言は不正受給を招く

また、Q7には、こんな回答が書かれていた。

Q7、副業している場合はどうなるのか。
・確定申告において事業収入がある場合は、対象になります。

この、Q7の答えもなんだか、わかりにくい。副業は基本的には、雑所得で確定申告をしている人が多いと予想される。なのに、この回答では、そこのところに触れていない。

副業が事業所得なのか、雑所得なのかについては、かねて、国税当局がガイドラインを示すべきだと考えていた。詳しくは、2月13日配信の「副業の確定申告で「還付金」をゲットした人の落とし穴」を参照されたい。

困窮している国民に現金を渡すという施策の特性上、迅速な対応が大切だ。しかし、いろんなふうに受けとることができる言葉を使って発表し、後で微調整をすることは、不正な申請者を招きいれ、国民の信頼を損なうことになってしまうのではないだろうか。

持続化給付金はしっかりと収入に計上を

現状、新型コロナウイルス対策として国税当局も在宅勤務を行っているようだった。国税の資料は外部に持ち出すことはできないはずなので、自宅でいったい、どんな仕事をしているのかわからないが、テレビやネットを使って資料収集にいそしんでいたのだろうと推測できる。新型コロナウイルス需要で好況を呈している業種は、必ずチェックされているはずだ。

国税の事業年度は、7月から12月。おそらく、2020年の6月末までは、税務調査はお休みだろう。

筆者は在職中、阪神淡路大震災があった。震災の被害にあった方の雑損控除の申告を受け付けるために、国税局の職員が被災地まで出向いて申告書の受け付け業務にあたったということもあった。調査官の間で、「いくらなんでもこの事務年度は税務調査はないだろう」と言い合っていたが、それは甘かった。財務省の傘下にある国税局や所轄の税務署は税金をとってきてなんぼの世界というわけなのだ。

そんなわけで、2020年も、7月に入れば、税務調査は再開されるだろう。そして、持続化給付金の支給を受けた中小企業や個人事業主については、数年後の税務調査で、きちんと収入金額として計上しているかを確認されるはずだ。

とにもかくにも、“税務署は3年泳がせる”ということは肝に銘じておきたい。