所得税法の原則は「たとえ盗んだお金でも課税する」
不要不急の外出を自粛するように要請され、その間に治療法などが研究され、抗体検査のキットが開発された。まだまだ、両手放しで安心できるという状態ではないと思うが、出口が見えつつある状況になってきたと思う。
医療現場の状況以外に、一般の国民として気になるのは、経済情勢についてだろう。どんな仕事をしていても、生活をするにはお金が必要だ。
まず、外国人も含め、日本で生活を送っている人に一人あたり10万円を支給するということが決まった。これは、本来、国から支給される給付金だ。一日でも早く、給付金を渡してあげたいということで、都道府県や市町村の中には、国からの支給よりも先に立て替え払いをするというところもあったようだ。
みんなが困っている時に、知恵を出しあって、それぞれの立場で今やれることをやろうという姿勢は大変よいことだと思う。この一人10万円の給付金は、生活するためのお金を補完するものなのだから、税金が課税さるはずはないと思っていた人が多かったのではないだろうか。
個人がお金をもらった時に税金がかかるかどうかは、所得税法にうたわれている。原則的には、「たとえ泥棒をして人から盗んだ場合であっても、お金を得ることができた人には税金をかけますよ」というのが所得税法の考え方だ。
「一人一律10万円給付」は非課税
では、そもそも給付金とはどんなものなのだろうか。よく聞くのは、病院にかかった費用を保険で補填する入院給付金だ。
所得税法施行令第30条には、「損害保険契約に基づく保険金及び生命保険契約に基づく給付金で、身体の傷害に基因して支払いを受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払いを受ける慰謝料その他の損害賠償金」(一部要約)は、非課税になることが明記されている。通常、非課税になる給付金は、これに該当するものだと考えられている。
今回の場合、新型コロナウイルスに関する法律を根拠に給付金が支給されることになり、協議の結果、非課税とすることが決まった。
事業を救済するという目的で給付金を支払うことを決めたのは、経済産業省だ。
第1章 趣旨・目的
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴うインバウンドの急減や営業自粛等により特に大きな影響を受けている、中堅企業、中小企業その他の法人等及びフリーランスを含む個人事業者(以下「個人事業者等」という。)のうち、給付対象者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える持続化給付金(以下「給付金」という。)を給付するものとする。
第3章 給付対象者
給付金の給付対象者は、個人事業者のうち、次に掲げる全ての要件を満たす者とする。ただし、給付金の給付は同一の申請者に対して一度に限るものとする。
(1)2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
※本規程における事業収入は、証拠書類として提出する確定申告書(所得税法第二条第一項三十七号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。)第一表における「収入金額等」の事業欄に記載される額と同様の算定方法によるものとし、2019年の年間事業収入は、当該欄に記載されるものを用いることとする。
第1章で気になる言葉があった。“フリーランス”だ。